共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

高温水素雰囲気での酸化物の移動現象を起源とした高活性窒素還元サイト発現の学理解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H02522
体系的課題番号
JP20H02522
配分額
(総額)
18,070,000円
(直接経費)
13,900,000円
(間接経費)
4,170,000円

我々は,Ru/Ba0.1La0.45Ce0.45O2が温和な条件でのアンモニア合成で極めて高い活性を示すことを見出した.この触媒では,高温水素処理した際に,希土類酸化物やアルカリ土類金属酸化物が移動しナノフラクションとしてRuナノ粒子に堆積する現象により高活性が発現することを見出している.本研究では,この現象の学理解明に取り組み,以下の研究成果を得た.
B.元温度がアンモニア合成活性に及ぼす影響の検討
Ru/Ba0.1La0.45Ce0.45O1.68,Ru/Ba0.1La0.9O1.45,Ru/Ba0.1Ce0.9O1.9について,700℃還元温度に触媒のキャラクタリゼーションを行った.その結果,Ru/Ba0.1La0.9O1.45については,触媒担体の焼結が起きていることが分かった.また,XRD測定の結果,Ru/Ba0.1Ce0.9O1.9では,BaCeO3の形成が見られ,希土類とBaが複合酸化物を形成することが分かった.一方,Ru/Ba0.1La0.9O1.45では,複合酸化物相の形成は見られなかった.
C.In-situ STEM-EDX-EELSを用いた高温還元時の触媒の形態と状態変化の解明
Ru/Ba0.1Ce0.9O1.9ではRu粒子の焼結があまり進んでいないのに対し,Ru/Ba0.1La0.9O1.45ではRuの焼結がかなり進んでいることが分かった.還元後の触媒について,大気に触れると酸化により触媒の形状や状態が変化し,還元後の触媒の正しい情報が得られない可能性があった.そこで,特殊なサンプルホルダを用いることで,大気非暴露のままSTEM観察を行うことに取り組んだ.その結果,Ru/Ba0.1La0.9O1.45では,ナノフラクションがRuナノ粒子を覆っている様子が見られた.さらにナノフラクションの組成を調べたところ,Ba,La,Oが含まれており,ナノフラクションの構成成分は触媒担体であることが明らかとなった.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H02522
ID情報
  • 課題番号 : 20H02522
  • 体系的課題番号 : JP20H02522