共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年9月 - 2022年3月

法的確信の構造の法現象学的解明:法動態の基礎理論の構築に向けて

日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援  研究活動スタート支援

課題番号
20K22047
体系的課題番号
JP20K22047
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
1,820,000円
(直接経費)
1,400,000円
(間接経費)
420,000円

本年度は、単なる慣行から慣習法を区別する一要件としての法的確信(opinio juris)がどのような構造を備えた意識状態であり、またどのような過程で生成するのかを研究した。本研究では、慣習国際法研究において典型的であるような、慣習法認定に携わる裁判官の視点からではなく、いままさに慣習法を遵守する者の一人称的な経験に定位して法的確信の構造と生成過程の解明を試みた。すなわち、現象学的なアプローチを用いて、どのように自らの行為を法として認めるような確信が生ずるのかを研究した。より具体的には、法哲学者であり日本における法現象学の先駆けでもある尾高朝雄の慣習法論およびエトムント・フッサールの現象学(とりわけ動機づけの議論や内的時間意識論、予期の現象学)を精査した上で、法的確信は、①その保有者を規範遵守へと動機づけるような確信であること、そしてそれは、②規範それ自体が保障しようとする事態の価値(規範価値)およびその規範遵守の一般慣行化がもたらす人々の予期の安定化に由来する秩序の利益(秩序価値)という二つの種類の価値志向に基礎づけられた価値的・規範的確信であることを明らかにした。
以上の成果は、現象学的なアプローチで社会事象を分析することに関心を持つ研究者が多く所属する日本現象学・社会科学会(2021年12月)および主に関西の法哲学者・法理学者が参加する法理学研究会(2022年3月)で報告し、フィードバックを受けた上で、論文としてまとめ、現在、某ジャーナルで査読プロセスにかかっている。
また本年度は、昨年度に引き続きSophie Loidolt, Einfuehrung in die Rechtsphaenomenologieの翻訳プロジェクト
に参加しつつ、既存の法現象学の研究蓄積をサーベイし、次年度へ向けた論点の明確化を試みた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K22047
ID情報
  • 課題番号 : 20K22047
  • 体系的課題番号 : JP20K22047

この研究課題の成果一覧

論文

  1

講演・口頭発表等

  2