共同研究・競争的資金等の研究課題

2000年 - 2002年

防衛/軍事組織の中の女性:ジェンダー政策とジェンダー・イデオロギーの日米比較

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
00J04451
体系的課題番号
JP00J04451
配分額
(総額)
3,600,000円
(直接経費)
3,600,000円

日米の防衛/軍事組織の中の女性に焦点をあて、両国のジェンダー政策及びジェンダー・イデオロギーを比較分析することを目的とした本研究の今年度の成果は、博士論文としてまとめ、12月慶應義塾大学より博士号(学術博士)を取得した。
博士論文は、日本の軍事組織・自衛隊を「ジェンダー化する」(engendering)-肉体的差異に意味を付与する知や実践を見いだす-ことにより、自衛隊もまた「ジェンダー化されている」(gendered)-男性を範型とし、組織の編成原理が性別関与的に構造化されている-ことを示したものである。
アメリカの先行研究を参照しつつ、軍事組織に対する男/女のかかわり方をめぐる議論とは、「セックスという事実」を争うかのような装いを与えられた「ジェンダー・イデオロギー」の闘争として把握できるものであるという視点に立ち、自衛隊が、組織内外の多様なアクターによるジェンダー・イデオロギー闘争の中で、自らの公定イデオロギーをどのように変容させ、どのようにそれを再生産しているのかを検証した。
その結果、歴史分析からは、自衛隊が、人材不足解消と国際的なジェンダー平等化の動向を二大背景としながら、その政策を平等化の方向へと進めながらも、男=体力=一流の戦力/女=母性=二流の戦力といった二元的な枠組みを保ち続けたことを、現状分析からは、自衛隊が、女性を取り込みつつも周縁化するというジェンダー編成をつくり上げ、「例外としての一流の女性自衛官/防大生」を最大限利用しつつ、「女らしい二流の女性自衛官/防大生」の評価を女性一般に拡張することで、構成員自ら、組織的にイデオロギーを再生産していることを示した。
なお、2002年3月には、この研究によって第六回女性学研究国際奨励賞を受賞、6月にはこの記事が読売新聞に掲載され、9月には国際女性学会で受賞特別講演を行った。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-00J04451
ID情報
  • 課題番号 : 00J04451
  • 体系的課題番号 : JP00J04451