MISC

2013年1月

木本植物におけるダイレクト PCR および通常の PCR のためのサンプル調整法

Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
  • 太田 智
  • ,
  • 矢野 加奈子
  • ,
  • 栗田 恭伸
  • ,
  • 喜多 正幸
  • ,
  • 清水 徳朗
  • ,
  • 根角 博久

82
1
開始ページ
14
終了ページ
21
記述言語
英語
掲載種別
DOI
10.2503/jjshs1.82.14
出版者・発行元
一般社団法人 園芸学会

DNA 抽出・精製法については,近年様々な改良が成されてきたが,高純度の DNA を得るためには,いまだ労力のいる工程が必要である.特に,ポリフェノールや多糖類などの二次代謝産物の存在によって高純度の DNA が得にくい木本植物では,それらの工程に多くのコストと時間がかかっていた.本研究では,カンキツにおいて,ダイレクト PCR と通常の PCR に利用可能で,高い再現性と費用効果をもつサンプル調整法を開発した.この方法は,サンプル葉を爪楊枝で突き,付着した DNA を PCR 反応液または TE0.2 バッファー液に溶かす工程からなる.我々は,ハッサクとカラタチの戻し交雑集団を用い,これらの方法の有用性について実証を行った.試験した 5 つの DNA マーカーにおいて,簡易 DNA 抽出法で 1200 bp のマーカー(CTg12A)を増幅した場合(PCR 成功率 86%)を除き,96–100%という高い確率で PCR に成功した.これまでの方法では,95 サンプル当たり DNA 抽出に 23 時間を要していたが,開発した方法では 1.5–2 時間で行うことができた.また,18 種の果樹および観賞樹においても,開発した方法が利用できる可能性を示した.それらのすべての樹種で,葉緑体の <i>acc</i>D および <i>rbc</i>L 領域の増幅断片が得られ,マンゴー,クリ,ニホンナシの種特異的な SSR マーカー(合計 7 種類)についても増幅に成功した.本研究で開発した方法は,高い処理能力が要求されるマーカー選抜や品種識別のような解析において優れた能力を示すと考えられ,今後木本植物のマーカー解析に利用されると期待された.<br>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.2503/jjshs1.82.14
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130004510761
Web of Science
https://gateway.webofknowledge.com/gateway/Gateway.cgi?GWVersion=2&SrcAuth=JSTA_CEL&SrcApp=J_Gate_JST&DestLinkType=FullRecord&KeyUT=WOS:000314140800003&DestApp=WOS_CPL
ID情報
  • DOI : 10.2503/jjshs1.82.14
  • ISSN : 1882-3351
  • eISSN : 1880-358X
  • CiNii Articles ID : 130004510761
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000258081917
  • Web of Science ID : WOS:000314140800003

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