共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

講義理解における要約力に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
16K02825
体系的課題番号
JP16K02825
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本研究の主な目的は、学部留学生による日本語の講義理解における要約力の解明にある。「要約力」とは受講内容の要点を日本語で簡潔に表現するコミュニケーション能力である。
平成30年度は、2種の人文学系講義G・Hにおける3種の理解データ(①受講ノート、受講後の②要約文、③インタビュー)の分析を継続した。3種の調査対象(日本語が母語の「大学生」と中国語・韓国語が母語の上級日本語学習者の「留学生」)による理解データにおける講義G・Hの「情報伝達単位(CU)」の残存傾向から、日本語の講義理解の要約力を、1.理解類型と表現類型、2.①受講ノートの「過程的理解」と受講後の②要約文、③インタビューの「結果的理解」を比較し、留学生の講義理解における困難点と要因の解明を継続してきた。
3種の理解データの集団別の量的分析と受講者別の質的分析を通して、2種の講義の原話の表現特性を分析し、留学生の講義理解における要約力の課題と解決策を検討してきた。
また、平成28年度に大学生と留学生対象の2種の講義の「話段調査」を実施し、29年度は講義G、30年度は講義Hの結果を、講義の談話構造(話段と中心文)の観点から分析した。
日本語学習者の話題区分の指摘は、原話の話段をある程度反映するが、日本語母語話者よりずれが大きく、原話の高次元の話段の中心文を意識できる人は原話の話段の把握も適切なことを明らかにした。そこで、日本語教育の講義の理解支援には、話段に基づいて話題を適切に理解し、各話段の中心文を的確に把握する方法を指導する必要があることを提案した。
さらに、講義の原話と理解データの要約文の表現特性の分析も継続して、講義の要点を把握する際の指標となる、1.講義内容を話段にまとめる表現、2. 要約文に有意に多く残存する重要情報の表現について、「日本語機能文型(FSP)」「情報伝達単位(CU)」「メタ言語表現」を学習事項とする講義理解の教材開発の可能性を検討した。

リンク情報
URL
http://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-16K02825/16K02825seika.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16K02825
ID情報
  • 課題番号 : 16K02825
  • 体系的課題番号 : JP16K02825