共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

急変する北極ツンドラ生態系における土壌微生物の多様性と機能・応答性の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H03413
体系的課題番号
JP18H03413
配分額
(総額)
17,290,000円
(直接経費)
13,300,000円
(間接経費)
3,990,000円

本研究では、グローバル・ライントランセクト調査によって、カナダ北極ツンドラ生態系における土壌微生物の種多様性を解明し、その多様性を規定する環境要因を解明する。さらに、土壌微生物群集が潜在的に保有、および既に発現している機能を解明し、急速に変化している北極ツンドラ生態系に与える土壌微生物の影響を推定することを目的とする。
カナダ東側の北極ツンドラ域は北緯55度-84度に分布しており、直線距離にして3000kmを超える。最南端の森林限界付近のクジュアラピックでは、年平均気温が-4度、7月の気温が13度、無雪期間は5-9月と5ヶ月もある。一方、最北の調査地であるワードハント島は年平均気温が-17度で7月の平均気温でも-1度と氷点下であり、無雪期間は1ヶ月弱という非常に厳しい場所である。
本年度はカナダ東部・クジュアラピックの北に位置するサルイットおよびさらに北のポンドインレットの土壌からDNAとRNAを抽出した。増幅した遺伝子領域は次世代シーケンサーで塩基配列を解読したのち、遺伝子型による分類および遺伝子型の存在割合を明らかにした。
マイクロアレイ分析のため、試料をアメリカの分析機関に輸送した。分析にかなりの時間を要したが、年度内にデータが送られてきた。得られたデータを元に微生物の機能群に関する情報の分析を現在行っている。
サルイットの土壌から検出した遺伝子数は、クジュアラピックの土壌とほぼ同じ水準であり、機能遺伝子数についても同様の傾向が認められた。一方、機能遺伝子(DNA)のα多様性は、クジュアラピックよりもサルイットの方が、ばらつきは小さくなっていた。主成分分析の結果によると、クジュアラピックとサルイットのDNAに基づく群集は分かれていたことから、異なる微生物群集が両地域には生息しているものの、機能の視点では似通っていることが示唆されてきている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H03413
ID情報
  • 課題番号 : 18H03413
  • 体系的課題番号 : JP18H03413