共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

間葉系幹細胞由来ペプチドを利用した炎症抑制と組織再生の両立を実現する治療法の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K10014
体系的課題番号
JP20K10014
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

炎症抑制効果を有する間葉系幹細胞(MSC)と炎症担当細胞であるマクロファージ(Mφ)の相互作用は、炎症の収束において特に重要である。本年度は、MSCが分泌するSCRG1がパラクリンにMφに及ぼす影響に着目した。マウスMφ様細胞Raw 264.7をSCRG1で処理し、サイトカインならびにサイトカイン受容体の遺伝子発現をプライマーアレイにて解析した。同様に、Raw264.7とマウス骨髄由来MSCを共培養後、Raw264.7の遺伝子発現をプライマーアレイにて解析した。その結果、Raw264.7をSCRG1で処理すると、14遺伝子で10倍以上の発現増加が認められた。また、MSCと共培養されたRaw264.7の遺伝子発現を解析した結果、4遺伝子において100倍以上の発現増加が認められた。SCRG1処理で遺伝子発現の増加を認め、かつ、MSCとの共培養で特異的に増加する遺伝子としてケモカイン受容体CCR7が同定された。SCRG1によるCCR7のmRNA発現をqRT-PCRにて定量的に解析した結果、12倍以上の有意な発現増加を認めた。さらにフローサイトメトリーにてRaw264.7に表出するCCR7の発現増強が確認された。これらの結果から、SCRG1はRaw264.7に作用することでCCR7の発現を増強することが示された。CCR7を発現したMφはCCL19やCCL21に対して走化性を獲得する。そこで、SCRG1によってCCR7発現が増強されたRaw264.7の走化性を、migration assayにて検証した。SCRG1で前処理したRaw264.7は、CCL19を添加した場合のみで走化性の有意な促進が認められたが、CCL21に対する走化性は促進されなかった。以上の結果から、SCRG1によってCCR7の発現が増強されたMφは、CCL19に対する走化性を特異的に獲得することが示された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K10014
ID情報
  • 課題番号 : 20K10014
  • 体系的課題番号 : JP20K10014

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