2009年5月 - 2014年3月
南極氷床コア分析と気候モデリングに基づく氷期・間氷期の気候変動メカニズムの解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(S) 若手研究(S)
南極ドームふじ氷床コアの気体を分析し、主要な温室効果ガスであるCO_2、CH_4、N_2Oや海水温の指標となるKrやXeなど多種のガス成分を対象として、過去70万年間の変動の概略復元および一部の詳細復元を実施した。特に、ドームふじコアに世界初となるO2/N2データを用いた正確な年代を与え、その年代を用いた統計検定や、将来予測にも用いられる気候・氷床モデルとの連携により、氷期・間氷期の気候変動メカニズムの理解を進めた。その結果、過去7回の退氷期のトリガーとして地軸傾斜より地軸歳差が重要であるという、従来説を覆す結果を得た。さらに、過去40万年間にわたる10万年周期の氷期サイクルの発現にはCO_2の変動は必須ではなく、軌道要素の変動による地球システム内部の相互作用(特に北米氷床の気候に対するヒステリシスおよび氷床.地殻の相互作用)が本質的に重要であることや、CO_2変動が氷期サイクルの振幅を2倍程度に増幅したことを世界で初めて示した。また、KrやXeのデータ取得も世界初であり、その信頼性検証のため、南極やグリーンランドの複数の氷床コアの分析を実施したうえで、これらのガス成分から過去の海洋の平均温度を最終退氷期について復元した。
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- 課題番号 : 21671001
- 体系的課題番号 : JP21671001