MISC

2018年12月

Toxic shock syndrome toxin-1産生黄色ブドウ球菌によるtoxic shock syndrome類似疾患の2例

防衛医科大学校雑誌
  • 伊藤 花菜
  • ,
  • 川村 陽一
  • ,
  • 田中 麻須実
  • ,
  • 中村 麻里
  • ,
  • 西村 直人
  • ,
  • 高梨 愛佳
  • ,
  • 松本 浩
  • ,
  • 川口 裕之
  • ,
  • 野々山 恵章

43
4
開始ページ
177
終了ページ
182
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
防衛医科大学校雑誌編集委員会

Toxic shock syndrome toxin-1(TSST-1)は黄色ブドウ球菌が産生するスーパー抗原の1種であり、toxic shock syndrome(TSS)をはじめとする全身性多臓器疾患の原因となるが、一部の症例ではTSSの診断基準を満たさず、軽症で経過することが知られている。今回我々は、TSS類似の臨床経過を示し、創部から検出された黄色ブドウ球菌がTSST-1産生株であった2例を経験した。症例1は12歳の男児。入院時、発熱3日目であり、全身の皮疹に加え、左膝関節直下に膿疱を認めた。血液検査では好中球増多を伴う炎症反応の上昇を認めており、蜂窩織炎と診断した。抗菌薬を投与した結果、症状は消退した。症例2は1歳の男児。熱傷を受傷した4日後に発熱、けいれんを認め入院した。血液検査では好中球増多を伴う炎症反応の上昇を認めたことから、熱傷に伴う細菌感染症を疑い、抗菌薬の投与を開始した。その結果、入院3日目には症状が消退した。2例とも創部の培養から黄色ブドウ球菌が検出され、TSST-1産生能を有することが確認された。熱傷や外傷等が先行し、その後に発熱や全身の皮疹、多臓器障害を認めた場合には、スーパー抗原性疾患の可能性を考慮し、創部の培養提出およびTSST-1測定を行いつつ、早期から抗菌薬治療を開始する必要がある。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0385-1796
  • 医中誌Web ID : T124430004

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