インジウム標的を用いた時間反転対称性の破れ探索に向けた$^{115}$In(n,$\gamma$)反応断面積の角度依存性の測定
日本物理学会第77回年次大会(2022年)
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- 開催年月日
- 2022年3月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 岡山(online)
- 国・地域
- 日本
原子核が中性子を共鳴吸収し複合核状態を経る過程では、パリティ(P)対称性が大きく破れて現れることが様々な原子核において観測されている。複合核において観測されているP対称性の破れの大きさは、核子間相互作用において観測されているP対称性の破れに比べて最大10$^{6}$倍大きい。この現象は入射中性子の軌道角運動量が異なる共鳴である、s波共鳴とp波共鳴が隣接する場合に観測されており、s波とp波の部分波の干渉によってP対称性の破れが増幅すると説明されている。同様の機構によって時間反転(T)対称性の破れも増幅しうることが理論的に予測されており、その増幅率は未知定数$\kappa$(J)を用いることによって、すでに観測されているP対称性の破れと結びつけることができる。この対称性の破れの増幅現象を利用することによって、従来にない高感度なT対称性の破れの探索が可能となることが期待されている。現在、我々は複合核におけるT対称性の破れの探索実験に向けた研究を行っている。本研究では、探索実験の標的候補核の選定を目的として、$^{115}$In+n反応のp波共鳴から放出される$\gamma$線の角度分布を測定する実験を、J-PARC・MLFのビームライン04 ANNRIで行った。In(n,$\gamma$)反応の$\gamma$線の角度分布測定によって、未知定数$\kappa(J)$に対して制限を与えることに成功した。また、$^{115}$Inを標的としてT対称性の破れ探索実験を行う場合を仮定して、電気双極子能率探索実験で現在与えられている上限値を更新するために必要な測定時間についても見積もった。