共同研究・競争的資金等の研究課題

1999年4月 - 2001年3月

7億年前に地球は全球凍結したか? ナミビアの縞状炭酸沿岸による検証

日本学術振興会  基盤研究(C)  基盤研究(C)
  • 川上 紳一
  • ,
  • 酒井 英男
  • ,
  • 石渡 良志
  • ,
  • 大野 照文
  • ,
  • 高野 雅夫

課題番号
11640414
体系的課題番号
JP11640414
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,100,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
0円
資金種別
その他

本研究は、ナミビアで採集した縞状炭酸塩岩の解析に基づいて、スノーボール・アース仮説を検証することである。現生代後期の氷河堆積物を覆う縞状炭酸塩岩は温暖な気候で堆積したものと考えられており、地質学における大きな謎であるとされた。氷河堆積物と縞状炭酸塩岩の組み合わせは、地球表面が前面的に凍結したとすると合理的に説明ができる。しかし、そのようなことは気候学的にありえないとされてきた。申請者らは、ナミビアで採集したラストフ縞状炭酸塩岩の化学的分析を行い、縞の解析から堆積速度の見積もりを試みてきた。層厚14mの縞状炭酸塩岩は、酸素、炭素同位体比からみて、3つの区間に区分されることが明らかになった。酸素同位体、炭素同位体比の変動は、スノーボール・アース仮説から導かれる論理的帰結と合致しているものと解釈された。現生代後期の炭酸塩岩の堆積環境の解析に、酸素同位体比が利用できることを世界に先駆けて示すことができた。一方、縞の解析では、区間2にメートルオーダーの明瞭な堆積サイクルが認められていた。このサイクルは、カルサイトに富んだ部分とドロマイトに富んだ部分の繰り返しで特徴づけられる。それぞれのサイクルには、ミリメートルスケールのラミナがあり、メートルスケールの堆積サイクルには、約1500枚のラミナが含まれていることが明らかになった。ラストフ縞状炭酸塩岩のラミナが1年ごとの環境の繰り返しを反映していることを論じた。一方、ナミビアのマイエバーグ縞状炭酸塩岩にはミリメートルスケールの縞とセンチメートルスケールの縞が形成されている。このような縞が潮汐リズムを反映したものである可能性を指摘した。この解釈によるとマイエバーグ縞状炭酸塩岩の堆積速度は、約25cm/年となる。これらの縞の解析から縞状炭酸塩岩に記録された炭素同位体比の変動の時間スケールは、数1000年であると見積もられた。これは新生代古第三紀の突発的温暖化事件(LPTM)における炭素同位体比の変動の時間スケールに比べ、一桁近く小さいことになる。以上の結果を総合すると、われわれが採集した氷河堆積物を直接覆う縞状炭酸塩岩の地球化学的特徴は、スノーボール・アース仮説と符合していることが明らかになった。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/11640414.ja.html
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-11640414
ID情報
  • 課題番号 : 11640414
  • 体系的課題番号 : JP11640414