Works(作品等)

2012年11月

「『新自然法論の必要性と可能性』への書評に応えて」


作品分類
その他
発表場所
『法の理論31』(成文堂)

拙著に対する高橋文彦氏(明治学院大学教授)による書評(『法の理論29』所収)への応答である。新自然法論が「あまりに多くを自明の原理」と措定しているという批判に対しては、最も基本的な行為諸理由のみが自明であると主張していると反論。自明性は「直観主義」を覆い隠しているという批判に対しては、実践的知性は経験の中から人間の実践秩序を成り立たせる基本要素として自明の基本善を拾い出すのであると反論。特に我々東洋人にとって「愛せよ」原理の自明性は疑わしいと言う批判に対しては、ここでの愛は感情の愛ではなくてフィリア(友愛)の愛であり、それは決して日本そして東洋の文化社会に縁遠くない、と反論。絶対的道徳規範を放棄するのは看板倒れの自然法論であるという批判に対しては、非恣意性をメルクマールとするホセ・ヨンパルトの歴史的自然法論があると反論。