2013年 - 2016年
ダイナミック構造変化を利用した高強度・高延性ナノ結晶合金の創製
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(A)) 基盤研究(A)
- 課題番号
- 25249103
- 体系的課題番号
- JP25249103
- 担当区分
- 連携研究者
- 配分額
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- (総額)
- 35,880,000円
- (直接経費)
- 27,600,000円
- (間接経費)
- 8,280,000円
- 資金種別
- 競争的資金
電解析出法により作製したNi-W合金は,結晶粒サイズが数nmの超微細構造を有し,高強度,高い熱安定性を示す硬質材料である.本電析合金の構造はW含有量に支配され,W含有量が20at. %を超えるとアモルファス構造となるため,引張条件下においてせん断帯が発生し,ほとんど塑性変形を生じることなく脆性的に破断する.一方,W含有量が20at. %以下となると,ナノ結晶が析出し,局所変形を伴った数%の塑性伸びを示すことが報告されている.本研究の一つ目の課題として,W含有量がおよぼす構造への影響について調査し,W含有量と構造の関係性について明らかにすることを目的とした.また、電析Ni-W合金が高強度・高延性を示す条件を確立し,その引張変形中の動的組織変化,および局所変形領域の組織変化を観察することで,塑性変形機構および加工硬化現象のメカニズムについてしらべることを目的とした.その結果、電析Ni-W合金のW含有量が20at. %を超えるとアモルファス構造となり,15~20at. %ではナノ結晶とアモルファスの複合構造,15at .%以下ではナノ結晶構造であることが確認された.ナノ結晶/アモルファス複合合金は,均一変形領域において変形誘起粒成長が認められた.応力低下とともに,幅100μm程度のせん断帯の発生が認められた.このせん断帯を横切るように20μm間隔でマイクロビームを照射し,局所変形領域と局所変形を生じていない平行部における組織の違いを観察した.Scherrer式より結晶子サイズを算出すると,3.0nmから4.2nmへと増加していることが確認され,局所変形領域において結晶粒成長が生じていると考えられた.ナノ結晶/アモルファスの複合構造を有するNi-W合金の加工硬化現象は,ナノ結晶とアモルファスの界面で結晶粒成長をすることで,逆ホールペッチ則に従って硬化が生じている考えられた.
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- ID情報
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- 課題番号 : 25249103
- 体系的課題番号 : JP25249103