2022年10月4日
その場中性子回折による氷VIIの原子分布と局所構造
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
- 巻
- 119
- 号
- 40
- 開始ページ
- e2208717119\_1
- 終了ページ
- e2208717119\_6
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.1073/pnas.2208717119
氷の多形体は、圧力や温度により驚くほど多様な構造を示す。水素結合の乱れは、その構造多様性の重要な要因であるだけでなく、その物性をも支配している。しかし、観測可能な逆格子空間が限られていることや、高圧下で測定されたデータの不確かさにより、高圧下において氷多形体の乱れた構造を明らかにすることは困難であった。今回、単結晶および粉末中性子回折の両方を用いて、2.2GPa, 298Kにおいて主要な高圧氷である氷VIIの乱れた構造を初めて明らかにした。最大エントロピー法を用いることにより3次元的な原子分布を導くことに成功し、水素がこれまで言われていた離散的なサイトではなく、リング状に分布をしていることを発見した。また、274Kでの全散乱実験により、氷VIIの水素秩序相である氷VIIIとは、同じ分子構造を持つにもかかわらず、その分子間構造が異なることを明らかにした。今回の単結晶と粉末回折の相補的な構造解析によって、氷VIIのユニークな無秩序構造が明確に示された。今回の発見は、圧力によって大きく変化するプロトンダイナミクスと関連しており、圧力下における氷VIIの異常な物性の構造的な起源を理解することに役立つと考えられる。
- リンク情報
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- DOI
- https://doi.org/10.1073/pnas.2208717119
- PubMed
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/36161890
- Scopus
- https://www.scopus.com/inward/record.uri?partnerID=HzOxMe3b&scp=85138636810&origin=inward 本文へのリンクあり
- Scopus Citedby
- https://www.scopus.com/inward/citedby.uri?partnerID=HzOxMe3b&scp=85138636810&origin=inward
- URL
- https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5075799
- ID情報
-
- DOI : 10.1073/pnas.2208717119
- ISSN : 0027-8424
- eISSN : 1091-6490
- PubMed ID : 36161890
- SCOPUS ID : 85138636810