2018年
セビリアのイシドルスの楽器論 ―古代ローマから中世ヨーロッパへの分水嶺なのか?
『上野学園教育研究紀要』(オンライン)
- 巻
- 号
- 2
- 記述言語
- 掲載種別
- 研究論文(大学,研究機関等紀要)
中世初期の教父による音楽論また音楽教育の礎として、ボエティウスやカッシオドルスとともに後世に大きな影響を与えたセビリアのイシドルスの『語源』について、特に楽器に焦点を当て読み解く。『語源』は中世以降の音楽論に引用されることが多く、「キリスト教ヨーロッパ世界」とならんとする「中世」に入り提唱された楽器論とみなされてきたが、実は古代ローマの楽器や実践・由来を語っており、そのため、カロリング・ルネサンス以降も、同時代の楽器の名称や様態と同定する際に乖離が生じてきた。しかし、楽器の分類や用途論など、実際の「ヨーロッパ世界」の楽器に影響を及ぼしたことも多い。この問題は、音楽教育のみならず歴史教育における「古代」と「中世」という「時代区分」の在り方についても再考する一助となろう。
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- ISSN : 2434-0375