基本情報

所属
岐阜大学 医学系研究科 医科学専攻 医療管理学講座 臨床薬剤学分野 教授
医学系研究科 教授
学位
薬学博士(九州大学)

J-GLOBAL ID
200901039659726248
researchmap会員ID
1000363882

外部リンク

抗がん剤による悪心・嘔吐発現メカニズムの解明と予防策の確立に関する研究/がん化学療法において悪心・嘔吐はほぼ必発する副作用であり、患者のQOLを著しく損なうこともある。本研究では、抗がん剤レジメン毎に適切な制吐対策を確立することを目的として実施する。/スタチン系脂質低下剤による肝障害発現機序解明に関する研究/スタチンは強力なLDL-コレステロール低下作用を示し、高コレステロール血症治療における第一選択薬であるが、横紋筋融解症や肝障害といった副作用を引き起こすことがあり、使用に際しては十分な注意が必要である。そこで、ヒトの肝細胞を用いて、スタチンによる肝障害発現機序について検討を行った。種々のスタチンを培養ヒト肝細胞に暴露すると、水溶性のプラバスタチンを除く全てのスタチンは細胞障害を引き起こす。この細胞障害の特徴は、核断片化、caspase-8およびcaspase-3活性化、Bcl-2発現量の低下を伴うアポトーシスである。スタチンによる肝細胞アポトーシスはメバロン酸やゲラニルゲラニルピロリン酸により抑制されるが、ファルネシルピロリン酸、スクワレン、コエンザイムQ10の添加では回復しないことから、HMG-CoA還元酵素阻害によるゲラニルゲラニル化タンパクの減少に基づくと考えられる。ゲラニルゲラニル化されるタンパクとして、低分子GタンパクRhoがある。ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤やRhoの機能を阻害するC3トキシンは脂溶性スタチンと類似した肝細胞アポトーシスを引き起こすことから、Rhoゲラニルゲラニル化低下によるBcl-2発現減少がスタチンによる肝障害に関与すると考えられる。/シスプラチンによる腎障害の発現機序解明及び予防策の確立/シスプラチンの用量規制因子の1つとして知られる腎障害の発症メカニズムについて、in vitro および in vivo 実験により検討した。ラットにシスプラチンを投与すると、腎尿細管における壊死病変が発現し、血中creatinine および BUN の上昇が見られ、この腎障害はフリーラジカル消去剤のエダラボン投与により顕著に抑制されることが明らかとなった。一方、ブタ近位尿細管細胞由来培養細胞(LLC-PK1)をシスプラチンに曝露すると、細胞はネクローシスを起こし、この障害は種々のラジカル消去薬により抑制される。また、シスプラチン暴露により活性酸素の産生増加、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)が過剰に活性化され、細胞内ATPが減少すること、tumor necrosis factor-a (TNF-a) 産生が増加すること明らかとなった。一方、シスプラチン暴露により、ネクローシスとともに、caspase-2 および caspase-8 活性化によるアポトーシスも引き起こされる。p53阻害薬のpifithrin-はシスプラチンによるcaspases活性化を抑制し、アポトーシスを抑制することが明らかとなった。したがって、シスプラチン腎症を予防するには、フリーラジカルの消去とともに、p53を介したcaspase系の活性化を抑制する必要があると考えられる。

論文

  71

MISC

  146

書籍等出版物

  6

共同研究・競争的資金等の研究課題

  22

社会貢献活動

  5