2019年11月
多職種で行う心理教育 認知症における心理教育 認知症ちえのわnetも含めて
日本社会精神医学会雑誌
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- 巻
- 28
- 号
- 4
- 開始ページ
- 417
- 終了ページ
- 423
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本社会精神医学会
認知症に対する心理教育は本人と家族に行う必要がある。ただし本人の認知障害、特に記憶障害が顕著な場合は本人に対する心理教育は制限される。行うべき心理教育の第一は、認知症の原因疾患によって治療法や対応法が異なることとそれらの具体的な内容である。高齢者の1.1%という高頻度でかつ、治療可能な特発性正常圧水頭症については、脳脊髄液排除試験やシャント術に関する説明が必要である。全ての認知症の人に対して行動・心理症状(BPSD)の予防と対応に関する心理教育は必須である。予防するためには、最も身近にいる家族に、どんなBPSDが出現しやすいかを知ってもらう必要があり、4大認知症に対して、原因疾患別・重症度別に12種類のBPSDの出現頻度、重症度、介護負担度を整理したBPSD出現予測マップが役立つ。また認知症の人の脳機能低下と心情を理解し、適切な対応法を検討できるよう教育することが大切である。さらに心理教育の有効性を高めるためには、早期受診が重要で、そのためには専門家が地域に出て行き、早期受診と早期診断の重要性を啓発する活動が必要である、我々は地域における継続的な学習会を開催し、またこの学習会の有効性を検証した。さらに様々なBPSDに対する奏効確率の高い対応法を公開し、BPSDに対する有効な対応法を考案する道筋を教示している認知症ちえのわnetは、認知症の専門家がいない地域のBPSDに対する心理教育に有用だと考えている。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0919-1372
- 医中誌Web ID : 2020057610