2020年4月 - 2023年3月
中国共産党による学際的政策の立案と実践:北極への取り組みを中心に
日本学術振興会 科学研究費補助金基盤研究(C) 基盤研究(C)
2021年度も、前年度から引き続き、コロナ禍で海外調査ができなかった。そのため文主に文献ベースで中国の北極進出にかかる科学技術研究、および関連の政策の内容を検討していくことになった。
中国が北極進出のために開発を進めているのが、衛星技術を用いた海洋観測技術である。中国は第13次五ヵ年計画期に「国家民用空間インフラ中長期発展規画」を策定し、それ以前から開発を行っていた「北斗」の測位システムに加え、衛星リモートセンシングシステムと衛星通信システムの発展に注力するようになった。近年、中国の宇宙開発はめざましい成果を挙げているが、中国はそうした技術とも連携させながら、地球全体を取り囲むような「空間インフラ」を構築し、それを使った応用技術開発も進めることで、人類社会のレベルを向上させていこうとしている。こうした動向が読み解けたことが、本研究のこれまでの最大の成果である。
本研究はさらにその具体的な内容を分析していくため、昨年度、中国の政策関連の文書の収集・分析を続け、中国の学術データベースで理系の科学論文を集め、中国国内の研究者が何をどのように開発してきたのか検討を進めた。これらの技術開発は北極のみをターゲットとしておらず、海洋関連技術として行われていることが多いため、民間人を対象としており比較的情報量の多い漁業産業などに目配りしながら分析を行った。
ただし、現在のところ科学者と政権との関係性ははっきりしておらず、中国が何を目的としてこれらの開発を行っているのかも明確ではない。ロシアのウクライナ侵攻でロシアでの聞き取り調査はさらに困難になってしまったが、それ以外の北極圏国家で中国の動向について聞き取りを実施する必要がある。また、中国国内における科学政策の立案過程や科学者へのインセンティブ付与の方法などについてもさらなる調査が求められる。
中国が北極進出のために開発を進めているのが、衛星技術を用いた海洋観測技術である。中国は第13次五ヵ年計画期に「国家民用空間インフラ中長期発展規画」を策定し、それ以前から開発を行っていた「北斗」の測位システムに加え、衛星リモートセンシングシステムと衛星通信システムの発展に注力するようになった。近年、中国の宇宙開発はめざましい成果を挙げているが、中国はそうした技術とも連携させながら、地球全体を取り囲むような「空間インフラ」を構築し、それを使った応用技術開発も進めることで、人類社会のレベルを向上させていこうとしている。こうした動向が読み解けたことが、本研究のこれまでの最大の成果である。
本研究はさらにその具体的な内容を分析していくため、昨年度、中国の政策関連の文書の収集・分析を続け、中国の学術データベースで理系の科学論文を集め、中国国内の研究者が何をどのように開発してきたのか検討を進めた。これらの技術開発は北極のみをターゲットとしておらず、海洋関連技術として行われていることが多いため、民間人を対象としており比較的情報量の多い漁業産業などに目配りしながら分析を行った。
ただし、現在のところ科学者と政権との関係性ははっきりしておらず、中国が何を目的としてこれらの開発を行っているのかも明確ではない。ロシアのウクライナ侵攻でロシアでの聞き取り調査はさらに困難になってしまったが、それ以外の北極圏国家で中国の動向について聞き取りを実施する必要がある。また、中国国内における科学政策の立案過程や科学者へのインセンティブ付与の方法などについてもさらなる調査が求められる。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K01449
- 体系的課題番号 : JP20K01449