2018年4月 - 2022年3月
アンチジーン法における配列制限の克服を目指したペプチド核酸の医薬分子設計
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
ペプチド核酸(PNA)は、DNAの糖-リン酸骨格がアミノエチルグリシンを単位とするペプチドに置き換えられた人工核酸で、二本鎖DNAに侵入して相補的な配列にワトソン・クリック型塩基対で結合する「ストランドインベージョン」というユニークな結合様式が可能である。しかし、現時点では標的配列が制限されているためその用途は限られている。擬似相補的A-T塩基対をもつ擬似相補的PNA(pcPNA)の開発によってdouble-duplex invasionが可能となり、配列制限は大幅に緩和されたが、G-C塩基対を多く含む二本鎖DNAへの結合は現在もなお困難である。
本研究では、ストランドインベージョンにおける配列制限の克服を目的に、擬似相補的G-C塩基対をもつpcPNAを新たに開発する。本研究の分子設計では、天然塩基と人工塩基との間の水素結合は3つに保持したうえで、両塩基に正電荷を帯びた置換基を導入することによって人工塩基間の塩基対形成を静電的反発によって抑制することにした。
2019年度は、2018年度に合成法を確立したGアナログのpreQ1を塩基部位とするPNAモノマー(Qモノマー)を組込んだPNAオリゴマーの合成と機能評価を行った。PNAオリゴマーは標準的なFmoc法によって問題なく合成できた。DNAとのヘテロ二本鎖の安定性を分光光度法によるTm測定で評価したところ、Gの代わりにpreQ1を組込んだPNAオリゴマーは非常に高い安定性を示した。また、preQ1による安定化効果は塩濃度が高なるにつれて小さくなったことから静電相互作用が示唆された。QモノマーはFmoc法による固相合成において、良好な溶解性、反応生を示し、PNAオリゴマーの合成に適していることが確認された。
本研究では、ストランドインベージョンにおける配列制限の克服を目的に、擬似相補的G-C塩基対をもつpcPNAを新たに開発する。本研究の分子設計では、天然塩基と人工塩基との間の水素結合は3つに保持したうえで、両塩基に正電荷を帯びた置換基を導入することによって人工塩基間の塩基対形成を静電的反発によって抑制することにした。
2019年度は、2018年度に合成法を確立したGアナログのpreQ1を塩基部位とするPNAモノマー(Qモノマー)を組込んだPNAオリゴマーの合成と機能評価を行った。PNAオリゴマーは標準的なFmoc法によって問題なく合成できた。DNAとのヘテロ二本鎖の安定性を分光光度法によるTm測定で評価したところ、Gの代わりにpreQ1を組込んだPNAオリゴマーは非常に高い安定性を示した。また、preQ1による安定化効果は塩濃度が高なるにつれて小さくなったことから静電相互作用が示唆された。QモノマーはFmoc法による固相合成において、良好な溶解性、反応生を示し、PNAオリゴマーの合成に適していることが確認された。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K06557
- 体系的課題番号 : JP18K06557
この研究課題の成果一覧
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論文
1-
Peptide Science 2021 111-112 2022年3月 査読有り最終著者責任著者