共同研究・競争的資金等の研究課題

2012年 - 2013年

ポートフォリオ型気候変動適応・緩和方策としての流域管理の提案

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
12F02085
体系的課題番号
JP12F02085
配分額
(総額)
2,300,000円
(直接経費)
2,300,000円

エチオピア北部に位置するティグレイ地域州は、1990年代後半以降、水・土壌保全策や集水施設の整備が広範囲に実施されてきたことで広く知られている。最近では、参加型統合流域管理とよばれるアプローチによって、土地の保全、自然資源の適正利用および生計の維持・向上を目的とした包括的・総合的な対策が小流域で実施されている。そこで本研究では、ローカルスケールから地域スケールでの効果的な政策と戦略の策定のため、乾燥地におけるさまざまな気候変動の適応・緩和手法をポートフォリオとしてとりまとめた総合的な流域管理手法を示すことを目的として実施した。
本研究で得られた成果は以下の通りである。
(1)衛星観測による降雨量データの補正
TRMM衛星とTamsat衛星の2種類の衛星観測から得られた降雨データを比較したところ、TRMMの方が良い結果を示した。そこでさらにTRMMデータから、2008年の降雨量の観測データを用いて検証を行った。
(2)流出量
気候変動シナリオ下の流出速度の変化を推定するモデルを開発した。このモデルにより、対象流域は、現在の条件下では47.7×10^9立米の流出を発生し、その54%が耕地からのものであると予測された。一方、将来については、30×10^9立米の流出と予測され、これは土地・水開発対策の実施により、2025年までにおよそ3分の1(36%)、流域の年間流出量が抑制されることを意味している。
(3)その他の環境影響
対象流域では、堆積速度が126.5×10^<12>立米であり、105.8×10^6トンの堆積を生じていると推定された。さらにその堆積物は、窒素2.31×10^5トン、リン1.26×10^3トン、炭素1.94×10^9トンを運搬することによって、オンサイトおよびオフサイトの両面において大きな環境影響をもたらしている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-12F02085
ID情報
  • 課題番号 : 12F02085
  • 体系的課題番号 : JP12F02085