共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

人工周期構造線路を利用するマイクロ波帯進行波型超伝導パラメトリック増幅器の研究

日本学術振興会  基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K04598
体系的課題番号
JP20K04598
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円
資金種別
競争的資金

本研究は,超伝導伝送線路のカイネティックインダクタンス非線形性を利用する進行波型超伝導パラメトリック増幅器に関するものである.特に,周期構造線路であるFishbone型超伝導伝送線路(FTTL)を適用することにより増幅器の小型化を目指すものである.令和3年度は,進行波超伝導パラメトリック増幅器における位相整合回路の設計及び利得解析,また高利得を得るために必要なFTTLの長尺化について検討した.
本研究で扱う進行波型超伝導パラメトリック増幅器は,ポンプ波長の1/2及び1/6の間隔毎にインピーダンスが異なる線路を付加することでポンプ周波数周りに分散が生じ,その結果ポンプ周波数周りで位相整合を取ることができる.本研究では増幅器の温度4K動作を目標にしているため,温度4 Kにおける表面抵抗を考慮して伝搬定数を解析し,位相整合回路の設計を行った.温度4 Kにおける伝送損失を考慮し,モード結合理論を用いてパラメトリック利得を計算したところ,周波数4-12 GHzにおいて20 dB以上のパラメトリック利得が得られたことから,目標としている温度4 Kにおける増幅器動作は十分期待できることが分かった.また,従来のコプレーナ線路(CPW)を用いる場合と比較し,FTTLを用いることで,同じ利得を実現するのに線路長を約1/3程度短縮できることが分かった.
前年度,FTTLの長尺化については線路の曲げ部分にCPWを用いるFTTL-CPWハイブリッド線路が有用であることを示した.FTTL-CPWハイブリッド線路において,CPWの中心導体の幅を変化させて伝送特性について測定を行ったところ,FTLLとCPWの中心導体の幅が同じ線路において放射損が小さく優れた伝送特性を示した.今後,上記の理論計算に基づきFTTL-CPWハイブリッド線路を用いる進行波型超伝導パラメトリック増幅器の設計,作製,評価を行う.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K04598
ID情報
  • 課題番号 : 20K04598
  • 体系的課題番号 : JP20K04598