共同研究・競争的資金等の研究課題

2013年4月 - 2018年3月

保育士のキャリア形成における阻害要因の研究

基盤研究(C)  

担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

本研究では,近年注目される保育者の退職について,その要因を,質・量の両面で検討することを目的とする。平成27年度末までに実施した19退職事例のインタビューより,保育者の退職理由では以下の3つが大きく目立った。①「業務困難感」。保育士の業務は多岐にわたるが,「能力が足りない」,「時間が足りない」ことで,業務の困難感が昂じると退職決定に至る。②「昇進忌避」。主任へ,副園長へ,園長へと,昇進するに従って責任も大きくなり業務の質も大きく変わる。このことに不安を持つ者が退職決定に至る。③子育てや介護といった「家庭状況と仕事との両立困難」。左記①や②を背景としつつ,家庭内での役割負担が高まり,退職の決定的要因となる。これら3要因に焦点化し,保育者の退職意思への影響を検討するため,平成28年度にX県内の保育者を対象にアンケート調査を行い,1800名程度の回答を得た。子どもとの関係やその他の人間関係よりも,園やクラスの企画や事務についての困難感が離職意思と大きく関連することなどが明らかにされた。