論文

2016年3月

母親が母乳育児継続に自信をもつまでのプロセス

香川大学看護学雑誌
  • 田村 博美
  • ,
  • 佐々木 睦子
  • ,
  • 内藤 直子

20
1
開始ページ
27
終了ページ
38
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
香川大学医学部看護学科

目的 母親が母乳育児継続に自信をもつまでのプロセスを明らかにすることを目的に、母親8名に母乳育児継続に自信をもつまでのプロセスについてインタビューガイドで半構造化面接し、戈木のグランデッドセオリーアプローチを参考に継続比較分析した。香川大学医学部倫理委員会承認後、対象者に文書と口頭で説明し文書で同意を得た。結果 平均年齢31.3(±4.34)歳、初・経産ともに4名、母親は妊娠期から【母乳をあげるのが楽しみ】な希望と意欲があり、【何回も母乳を飲ませる】ことで、[母乳育児はいつも子ども一緒]の母子一体感を実感していた。また助産師等に相談して【母乳の悩みを乗り切る】と【私の体一つあれば母乳でいけるゆとりと自信】につながっていた。一方、【母乳育児への焦りとこだわり】は、母親の疲労を増し、【笑顔で接することが出来ない辛さ】と、【完全母乳栄養が出来ない不安とミルクへの罪悪感】を感じていた。考察 母親の妊娠から産褥期まで、【母乳をあげるのが楽しみ】の強い希望と意欲は、[母乳育児はいつも子どもと一緒]の母子一体感につながっていた。母乳育児をとおした母子相互作用を繰り返すなかで、母親は児の個性や合図に気づき、児に対する感受性や反応性を高めて母子愛着を深め、授乳による直接的な肌と肌の触れ合いによる一体感が、気持ちの支えとなり自信への足がかりとなっていたと考える。授乳の繰り返しは、母親のセルフケア力獲得につながり、気持ちにゆとりが生まれ、更にゆとりの積み重ねが、我が子と一緒だからこそ母乳育児を継続することができるという自信につながっていたと考察した。結論 母親が母乳育児に継続に自信をもつまでのプロセスには、[母乳育児は子どもと一緒]を実感できるような継続的関わりの重要性が明らかになった。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1349-8673
  • 医中誌Web ID : 2016271499

エクスポート
BibTeX RIS