2018年8月
日本人中高齢女性を対象とした内臓脂肪の分布とメタボリックシンドロームリスク因子との関係
京都滋賀体育学研究
- 巻
- 34
- 号
- 開始ページ
- 10
- 終了ページ
- 18
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- 京都滋賀体育学会
現在,我が国では,日本肥満学会により内臓脂肪型肥満の診断方法が設けられており,臍位(腰椎4番目-5番目:L4-L5)における内臓脂肪面積測定やウエスト周囲径測定がゴールドスタンダードとされている.しかし現在のところ,内臓脂肪蓄積の分布とメタボリックシンドロームリスク因子の関連を検討した研究は,これまでのところ極めて少ない.そこで本研究は,日本人中高齢女性を対象に磁気共鳴画像診断法でみた内臓脂肪面積の分布とメタボリックシンドロームリスク因子との関係について検討することを目的とした.本研究の被験者の内臓脂肪面積は,V-3(臍から3cm下位)からV10(臍から10cm上位)までの全ての部位においてObesity群とNormal群の間に有意な差が認められた(p<0.001).また,Normal群とObesity群の内臓脂肪面積の差の割合を検討したところ,上腹部ほど内臓脂肪面積が多かった.空腹時血糖は上腹部で全被験者とObesity群において有意な相関がみられたが(Total:r=0.44,Obesity:r=0.41,p<0.05),臍位では両者とも有意な相関はみられなかった.メタボリックシンドロームリスク因子保有数は全被験者およびNormal群の上腹部において有意な関連が認められた.脈波伝搬速度(足首-上腕)はNormal群の上腹部にのみ有意な関連があった(r=0.39,p<0.05).HDLコレステロールは全被験者(r=-0.35,p<0.05)とObesity群(r=-0.41,p<0.05)において上腹部で有意な負の相関がみられたが,臍位ではその関係はみられなかった.これらの結果から,先行的に日本人男性で示されてきたが,本研究において日本人中高齢女性においても,上腹部の内臓脂肪面積はメタボリックシンドロームリスク因子と有意に関連することが明らかとなった.(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 2187-7866
- eISSN : 2435-8835
- 医中誌Web ID : 2021317961