共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

放射線抵抗性がん細胞の克服を目指した長期的かつ網羅的な生細胞モニタリング

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K12326
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

細胞培養系において、X線を照射したがん細胞を1週間程度の長期間をタイムラプスで観察し続けた研究はこれまでにないことから、本研究ではこの点に挑戦した。条件検討の結果、ZEISS Celldiscoverer 7を用いれば最長10日間のタイムラプス解析が実施できることが分かった。
今までに報告された解析では、X線照射後、およそ24時間が経過したころからがん細胞に細胞死が誘発され始めるという事だったが、今回の解析では照射24時間以内に細胞死は観察されなかった。従来から行われているFACS(蛍光標示式細胞分取)解析などでは、細胞をトリプシン処理するなどするため、人の手を加えた時点で一部の細胞が細胞死を起こすのではないかと考えられる。また、細胞死はX線照射後の時間経過とともに、だらだらと生じている印象であった。今後、定量的に細胞死頻度と時間の関係を明らかにしていく予定である。
誘発される細胞死の形式として、形態的な観察からapoptosisに分類されるものとそれ以外に分類されるものがあることが分かった。Erastinで誘発されるFerroptosisもタイムラプス解析したが、その時に生じる死細胞の様式は、X線で誘発される細胞死には見られなかった。
また、核をEGFPで可視化できる細胞を用いてタイムラプス解析を行ったところ、intercellular bridgeがかなりの高頻度で生じていることも明らかになった。X線を照射すると多核細胞が高頻度で生じるが、そのメカニズムも得られたタイムラプスを解析することで、明らかになると期待している。

ID情報
  • 課題番号 : 19K12326