2021年4月 - 2025年3月
多彩な物性を実現するクモ糸生合成機構の全容解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
- 課題番号
- 21H02210
- 体系的課題番号
- JP21H02210
- 担当区分
- 研究分担者
- 配分額
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- (総額)
- 17,810,000円
- (直接経費)
- 13,700,000円
- (間接経費)
- 4,110,000円
クモ糸はその強さが特に注目を集めやすいが、実は物性の多様性にこそ最大の魅力が詰まっている。その多様な物性を実現するためにはクモ糸タンパクを人工合成することで解決すると考えられていた。ところが最近になってクモ糸はクモ糸タンパクと複数種類のSpiCEと呼ばれる低分子タンパクとの複合材であり、このSpiCEが糸の物性向上を支えている証拠が見出された。そこで本課題ではこれまでに明らかにしてきたクモの全ゲノム・糸タンパク組成情報やマルチオミクス解析手法を基盤に、各関連因子がクモ糸生合成過程にどう関与しているのかを明らかにすることで、クモ糸合成経路の全容解明を目指す。蜘蛛糸の天然物性を支える新規物質であるSpiCEは種ごとに10種類程度あり、平均50 kDa程度の機能未知タンパクである。全SpiCEが雌成体の糸から発見されており、タンパク量が多いもので糸全体の5%を占めるものもある。糸腺それぞれでSpiCEの遺伝子発現パターンが異なっていることも確認されている。今年度はそのSpiCEが糸物性にどれほど影響を与えているのかを定量的に解明すべく、蜘蛛糸タンパク質で作られた人工フィルムへの添加実験を行った。その結果SpiCEを蜘蛛糸タンパク質と混ぜることでフィルムの物性は1.5-2倍上昇することが確認された。さらにこのSpiCEがクモ全体でどれほど保存されているのかを明らかにすべく、複数の近縁種を対象にクモゲノムシーケンスを実施した。SpiCEの配列保存性は多く見られなかったが、糸物性に関与する可能性のある数種のSpiCEを発見することに成功した。
- ID情報
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- 課題番号 : 21H02210
- 体系的課題番号 : JP21H02210