共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

生態ゲノミクスによる野生植物の平行進化機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
21H02565
体系的課題番号
JP21H02565
配分額
(総額)
9,490,000円
(直接経費)
7,300,000円
(間接経費)
2,190,000円

平行進化が短期間に起こる場合,新しい環境での適応に既存変異が繰り返し利用されることがある.本仮説が成立するには不適合環境においても一定期間,変異が維持されねばならないが,その維持メカニズムに関する実証研究は乏しい.日本には植物の生育阻害を起こす蛇紋岩土壌が島状に分布し,キク科アキノキリンソウはこの特殊土壌に繰り返し適応している.本研究では,蛇紋岩型と一般型の集団ゲノム分析を行うことで土壌適応に関わる変異を特定し,離れた蛇紋岩地で同じ変異が適応に関与しているかを調査する.また平行選択されている変異について,一般土壌地における分布を調査することで,本種が新規環境に出会った際の潜在的な適応力を解明することを目指す.
令和3年度は北海道,中部地方,近畿地方,九州地方で野外調査を実施し,各地の蛇紋岩地帯とその周辺の一般土壌帯に生育するアキノキリンソウのゲノム分析用試料を収集することができた.得られた試料は個体別にDNAを抽出したあとに,集団内50個体分のDNAを等濃度で混合し,集団ごとにゲノムライブラリを作成した.令和4年度は未調査となっている東北地方と四国地方での試料採取を完了させ,追加でゲノムライブラリを作成する.次世代シークエンサーでライブラリを解読し,得られたデータを以降の変異検出に利用する.アキノキリンソウでは,申請者らによって既に参照ゲノム配列が構築されているため,Pool-seq法で得たデータをゲノム配列にマッピングして集団内の変異頻度を正確に推定できる.適応遺伝子を抽出する基準としては,地域内の集団ペア間でゲノム分化度と中立検定を採用し,各地域内で土壌適応に関与する遺伝子群を抽出する予定である.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21H02565
ID情報
  • 課題番号 : 21H02565
  • 体系的課題番号 : JP21H02565

この研究課題の成果一覧

受賞

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