2012年9月26日
「日中国交正常化40年」を超えて――石橋湛山の対中国交正常化への取り組み
法政大学国際日本学研究所2012年度第6回東アジア文化研究会
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発表資料
回数 : 4
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
- 主催者
- 法政大学国際日本学研究所
- 開催地
- 法政大学
今回の発表では、1972年に日中共同声明が出される前に日中の国交正常化に取り組んだ元首相の石橋湛山(1884-1973)を対象とし、彼の事績が確認、検討された。その結果、石橋の取り組みの特徴が政治的、経済的、理念的な側面から考察され、(1)経済関係の改善こそ政治関係の発展に役立つという意味での「政経不可分」を唱え、「政治関係の改善こそ経済関係の発展に役立つ」という中国側とは異なる「政経不可分論」を展開したこと、(2)対中交渉が失敗した場合の責任を自ら引き受けることを明言したこと、(3)党派を超えた「国民運動」としての「対中国交正常化」を目指したこと、(4)政治家主導による交渉を行ったこと、が示された。以上のように、今回の報告では1950年代から1960年代における石橋湛山の対中国交正常化に向けた取り組みの特徴が示され、参加者との質疑応答によって、石橋の取り組みを検討するための重要な視点が得られた。そして、日中関係を東アジア、あるいは国際関係の一部として考えた石橋の取り組みは、日本と中国の相互補完的な関係を考える上でも顧慮に値するものと考えられた。