共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

火山熱水系の物質科学に基づく噴火発生予測モデルの構築:水蒸気噴火減災に向けて

日本学術振興会  科学研究費助成事業  若手研究

課題番号
21K13998
体系的課題番号
JP21K13998
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

本研究では,水蒸気噴火およびマグマ水蒸気噴火の発生場となる火山熱水系の物質科学的特性や時空間変化を明らかにするため,下記の課題(1)~(3)を軸に研究を進めることで,マグマ―熱水の両方の物質科学に立脚した革新的な中~長期火発生予測モデル構築を実現する.ここでは,本研究対象として,最近数千年間で水蒸気噴火,マグマ水蒸気噴火,マグマ噴火をそれぞれ異なる頻度で繰り返す,蔵王火山,吾妻火山,安達太良火山に着目する.
課題(1)では,噴出物の地層層序構築に基づき,水蒸気・マグマ水蒸気・マグマ噴火における活動遷移過程を復元する.課題(2)では,噴出物や山頂変質帯の岩相分布および地質構造,物質科学的特徴から,噴火発生場となる火山熱水系の状態(温度・圧力・構成物)を決定する.そして,課題(3)では,事例比較により火山熱水系の普遍性および差異を見出すことで火山システムにおける火山熱水系の位置づけを明確にする.
2021年度には課題(1)(2)に関して成果が出ている.まず,吾妻火山1331年以降の噴火活動について,従来認識されていなかった1331-1893年間の活動に由来する一連の噴出物を初めて見出し,またそれらの物質科学的特徴からおよそ500年間の火山熱水系の活動変化を復元した.この吾妻山での事例は国際学術雑誌Journal of Volcanology and Geothermal Researchにて公表した.蔵王火山では1895年噴火に注目し,物質科学的分析を進めたところ,上記の現象遷移と対応して噴出物中のミョウバン石鉱物の化学組成が変化することが明らかになった.安達太良火山では山頂に露出する熱水変質帯の地質・鉱物学的特徴から,かつての熱水系の構造を明らかにした.蔵王,安達太良の事例は現在原稿執筆中であり,2022年度中に誌上公表予定である.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K13998
ID情報
  • 課題番号 : 21K13998
  • 体系的課題番号 : JP21K13998

この研究課題の成果一覧

論文

  2

MISC

  1

講演・口頭発表等

  3