共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

近現代日本の社会運動組織による「スクリーンのメディア」活用の歴史・地域的展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K02022
体系的課題番号
JP18K02022
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円
資金種別
競争的資金

2018年度は、占領期の貴重な資料を何点か新たに発見、修復・保存作業を完了した。徳島キネマミュージアムの所蔵フィルム資料に、1946~47年に製作された近藤日出造作画『新日本の種まき』と、戦時中から継続して製作されていた幻灯によるニュース『幻燈月報』が含まれているのを発見、修復作業を行った。また、大原社会問題研究所に1951年に中国で刊行された連環画本『松川事件』が所蔵されていることを確認し、修復・保存・デジタル化作業を行った。
高畑勲監督『太陽の王子ホルスの大冒険』の原作となったものの、従来ほとんど内容を知られていなかった人形座『春楡の上に太陽』の台本を確認し、当時の関係者にインタビューを行ったことで、国民的歴史学運動の流れを汲む人形劇が、高畑勲・宮崎駿・大塚康生らが参加した東映アニメーション映画の初期の代表作に繋がる系譜を確認した。
版画家鈴木賢二の幻灯作品紹介を中心とする原爆の図丸木美術館「1950年代幻灯上映会」(2018年6月23日)、川崎市市民ミュージアム「かこさとし幻灯上映会」(2018年8月19日)ほかで、幻灯フィルムと幻灯機による一般向けの上映を行った。また、神戸映画資料館にて、望月優子の出演及び監督作品を上映し、映画俳優・映画監督・社会活動家としてのユニークな実績を再検証する「望月優子特集上映」(2018年12月28日)を開催した。
以上の研究実績については、鷲谷花「美しい悪魔の妹たち:『太陽の王子 ホルスの大冒険』にみる戦後日本人形劇史とアニメーション史の交錯」(『ユリイカ』2018年7月号)、鷲谷花「マンガ・プロジェクション―戦後日本大衆文化におけるマンガ・劇画のスクリーン映写」(光岡寿郎、大久保遼(編)『スクリーン・スタディーズ:デジタル時代の映像/メディア経験』東京大学出版会、2019年1月)ほかで発表した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K02022
ID情報
  • 課題番号 : 18K02022
  • 体系的課題番号 : JP18K02022