2018年4月 - 2022年3月
変性神経細胞におけるダイナミックなクロマチン構造変化の同定
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
ハンチントン病等のポリグルタミン病は、唯一核内に病因タンパク質の重合体(核内封入体)が形成される神経変性疾患である。神経細胞核内の機能異常がその疾患進行に関わっていると考えられ、実際、数千もの遺伝子が発現変化することが見出されている。これまでに、我々を含めた研究グループから、NF-Yなどいくつかの転写調節因子がハンチンチン封入体に取り込まれ、活性阻害されることが報告されている(Yamanaka T et al. EMBO J 2008, Hum Mol Genet 2010、PLoS ONE 2014 etc)。これらの結果は遺伝子発現異常による神経変性機構を一部説明するものであるが、これまで同定された約20個の転写調節因子では多大な遺伝子発現変化は説明できていない。すなわち、よりダイナミックな核内変化が存在すると予想される。本研究では、ハンチントン病の核内封入体を指標に変性神経細胞の細胞核を単離する方法を確立し、世界で初めて最新ゲノム技術を用いた変性神経細胞での包括的クロマチン構造解析を行うことにより、神経変性に関わる新規病態メカニズムを明らかにする。本年度は、ハンチントン病モデルマウス脳から神経細胞核を分離するため、まず、脳を懸濁し、NeuN抗体にて神経細胞核を標識し、セルソーターにて単離する方法を確立した。この細胞核よりゲノムDNAを抽出し、クロマチン免疫沈降やクロマチン構造解析に向け準備を進めている。一方、ハンチンチン凝集体に結合する転写因子NF-Yについて、その中枢神経系における機能解析をマウスを用いてさらに進め、Burke Neurological Institute Special Seminarにて口頭発表を行った(招待講演)。
- ID情報
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- 課題番号 : 18H02723
- 体系的課題番号 : JP18H02723