2020年7月 - 2024年3月
建造環境の微生物叢の実態把握と応用:温度調節による新たな病原体制御理論の創成
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓) 挑戦的研究(開拓)
消毒剤や抗菌剤に頼らない温度による新たな病原体制御理論を創成し、空間や高頻度接触面の温度を制御することで、感染予防へと応用を目指すために、2年目は以下の研究を実施しいくつかの成果を得た。
1. 乾燥表面の温度調節による大腸菌の生存性の制御に湿度変化が与える影響: 私達は乾燥面を37℃付近に温めることでその乾燥麺に塗抹した細菌の生存性が顕著に低下することを見いだした。その一方で環境温度は、熱を奪う空気中の水蒸気量すなわち湿度の影響も受ける。そこで恒温恒湿機を使用し,温度(25-37℃)と共に湿度(45-90%)が乾燥表面の大腸菌の生存性に与える影響を調査した。その結果湿度と大腸菌の生存率には逆相関関係(r=-0.241)があり,湿度が上がるほど生存率は有意に低下した(p=0.04)。このように、乾燥面での温度制御において湿度によるネガティブな効果は最小限であることを見いだした。
2. 温度制御手摺デバイス上での細菌の生存性の可視化法の開発: バイク用ハンドヒーターを改良し作成したデバイスの効果を振れ幅の大きい培養に頼らず正確かつ簡便に確認する方法を、無蛍光の透明テープとLIVE/DEAD染色による測定系とキーエンス画像解析ソフトを組み合わせることで実現した。具体的には、ヒーターより距離が離れるほど手摺上の生存菌数は有意に低下し、その効果は温度ヒートマップと一致した。
3. 土壌細菌の空間移動に環境要因の変化が及ぼす影響について: 新型コロナ感染症の影響で公共の閉鎖環境での採材ができなかったので、その代替えとして3Dプリンターを用いて空気中に浮遊する細菌を効率よく生け捕りにできるエアサンプラーを用いて北大農場にて実施した。その結果、環境因子(気圧、蒸気圧、湿度、風向き)が連動し変化することにより、空気中に巻き上げられ浮遊し移動することが明らかになった。
1. 乾燥表面の温度調節による大腸菌の生存性の制御に湿度変化が与える影響: 私達は乾燥面を37℃付近に温めることでその乾燥麺に塗抹した細菌の生存性が顕著に低下することを見いだした。その一方で環境温度は、熱を奪う空気中の水蒸気量すなわち湿度の影響も受ける。そこで恒温恒湿機を使用し,温度(25-37℃)と共に湿度(45-90%)が乾燥表面の大腸菌の生存性に与える影響を調査した。その結果湿度と大腸菌の生存率には逆相関関係(r=-0.241)があり,湿度が上がるほど生存率は有意に低下した(p=0.04)。このように、乾燥面での温度制御において湿度によるネガティブな効果は最小限であることを見いだした。
2. 温度制御手摺デバイス上での細菌の生存性の可視化法の開発: バイク用ハンドヒーターを改良し作成したデバイスの効果を振れ幅の大きい培養に頼らず正確かつ簡便に確認する方法を、無蛍光の透明テープとLIVE/DEAD染色による測定系とキーエンス画像解析ソフトを組み合わせることで実現した。具体的には、ヒーターより距離が離れるほど手摺上の生存菌数は有意に低下し、その効果は温度ヒートマップと一致した。
3. 土壌細菌の空間移動に環境要因の変化が及ぼす影響について: 新型コロナ感染症の影響で公共の閉鎖環境での採材ができなかったので、その代替えとして3Dプリンターを用いて空気中に浮遊する細菌を効率よく生け捕りにできるエアサンプラーを用いて北大農場にて実施した。その結果、環境因子(気圧、蒸気圧、湿度、風向き)が連動し変化することにより、空気中に巻き上げられ浮遊し移動することが明らかになった。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K20613
- 体系的課題番号 : JP20K20613
この研究課題の成果一覧
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講演・口頭発表等
2-
アメリカ微生物学会 (ヒューストン) ASM Microbe 2023年6月19日
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Combined effect of temperature and humidity on the survival of Escherichia coli DH5α on dry surfacesアメリカ微生物学会 (ワシントンDC) ASM Microbe (オンライン参加) Rapid fireに採択 2022年6月11日