共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

フッサール「『改造』論文」とその文脈に関する総合的研究:社会の現象学を中心に

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H01177
体系的課題番号
JP20H01177
配分額
(総額)
16,770,000円
(直接経費)
12,900,000円
(間接経費)
3,870,000円

本年度はふたつの研究を中心に進められた。
第一に、フッサールの「『改造』論文」とその関連草稿(ともに『フッサール全集(Husserliana)』第27巻に所収)を全訳し、注解を付ける研究会を定例でおこなった。本年度は、第一論文「革新。その問題と方法」について、下訳を一文ずつ検討しながら注釈のためのメモを科研費メンバーのうち三名の共同で作成した。その際の役割分担は以下の通りである。植村は、下訳を作成し研究会の進行管理を行ったほか、主に現象学方法論の観点からの注解作成にあたった。吉川と八重樫は、下訳のチェックを行いつつ、フッサールおよび初期現象学の倫理学という観点からの注解作成にあたった。また竹島は、現象学の非専門家の立場からの助言にあたった。こうした翻訳と注解の作業は本研究を着実に進めるための地固めとしての役割を果たすと同時に、翻訳の出版を通じて本研究の最大の成果のひとつとなる予定である。
上と平行して、各自が研究計画において割り当てられた課題に取り組んだ。植村は、フッサールの本質論が初期の倫理学において果たしている役割について研究したほか、初期現象学における社会哲学に関するこれまでの研究成果を、シュタインとヴァルターだけでなく、尾高朝雄にも着目しながら整理した。吉川は、当初の予定では八重樫が取り組む予定だった個人倫理学の観点からのフッサール研究として、「生き方としての現象学」という発想の再検討を行った。八重樫は、フッサールの個人倫理学に関する研究として後期の倫理学草稿の内容を整理したほか、当初の予定では吉川が取り組む予定だった社会倫理学の観点からのフッサール研究にも取り組んだ。竹島は、尾高朝雄のヘーゲル論の準備のため、尾高の主要著作の調査にあたった。これらの研究の成果は次年度以降に本格的に発信される予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H01177
ID情報
  • 課題番号 : 20H01177
  • 体系的課題番号 : JP20H01177

この研究課題の成果一覧

論文

  24

MISC

  1
  • Genki Uemura
    Encyclopedia of the Philosophy of Law and Social Philosophy 1-4 2022年7月  査読有り招待有り筆頭著者

書籍等出版物

  4

講演・口頭発表等

  24