2017年4月 - 2020年3月
地球環境ガバナンスとレジームの変動ーCITESの発展・変容と国内実施
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
年度前半には、市民セミナー及びシンポジウムを開催し、多様なアクターと意見交換を行った。8月にはJWCSと共催で市民セミナー(「買い物の先にある絶滅と世界の潮流」)を開催し、野生生物の密猟、違法取引の防止における市民の役割とフェアトレード認証の利用可能性について検討を行った。9月には、研究分担者(真田)が国際シンポジウム(「海産水産資源の持続可能な利用とワシントン条約:グローバルな規範形成と日本の対応」)を開催し、研究者、政府関係者、環境NGO、報道関係者等、多様な立場の人々と問題を共有し、建設的な議論を行った。これらの機会を通して、日本においては、条約の国内実施プロセスの透明性が低く、市民が意見を形成し、意思決定に反映させる機会が十分ではないことが確認された。また、第70回常設委員会にオブザーバーとして参加し、審議の観察を行った。日本の調査捕鯨(北東太平洋におけるイワシクジラ)が不遵守にあたるか、という議題については、国際協調に基づき、捕獲中止を確約した日本の対応は概ね受け入れられたが、象牙については、NIAPプロセスにより対応が改善された諸国の「卒業」が認められる一方で、法改正により規制強化を行い、市場を維持する意向の日本の対応については評価が分かれたことを確認した。年度後半には、10月に研究会、3月にスカイプ会議を各1回開催し、メンバー間で情報共有を図ると共に、各々の進捗状況について中間報告を行って、最終年度の研究成果の見通し及び公表方法を検討した。以上を踏まえて、条約の国内実施プロセスを多元的な統治の場(locus)として捉えなおすという基本方針を立てて、条約レジームに動態性をもたらす諸要因について仮説と実証を試みると同時に、他国と比べ、消極的かつ硬直的な日本の国内実施について、変化と停滞のメカニズムを、法的及び行政学的な観点から、明らかとするという目標を共有した。
- ID情報
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- 課題番号 : 17K03509
- 体系的課題番号 : JP17K03509