その他

  8
表示件数
  • 2017年9月 - 2017年9月
    本研究では、細胞分裂方向の変化で誘導されるEMTをモデルとして、病態でみられる異常なEMTの共通原理を明らかにすることを目指す。これ までおこなってきた上皮細胞ダイナミクスのライブイメージング観察に加え、EMTのタ イムコースをとったトランスクリプトーム解析を組み合わせることで、EMTに伴う段階 的な遺伝子発現変化を細胞の振る舞いとともに明らかにする。また、遺伝学的なスクリ ーニングによって、EMTに関与する因子を同定し、機能解析する。さらに、分裂方向の 変化で誘導したEMTが腫瘍の悪性化に与える影響までを明らかにする。研究成果は、病態EMTの普遍原理の理解につながり、EMTの新たな分子マーカーの同定にも役立つこと が期待できる。
  • 2017年4月 - 2017年4月
    本研究では、分裂期スピンドル方向に着目し、スピンドル方向 異常が誘導する上皮腫瘍形成メカニズムの理解を目指す。Scrib と Dlg はヒトのがんにおいても発 現低下が観察される腫瘍抑制因子であることを考えると、本研究で上皮組織の分裂期スピンドル 方向の異常が誘導する「腫瘍の発生」を体系的に明らかにすることは、ヒトにおける腫瘍発症機序 の理解の向上につながり、その知見は将来的な医療応用に役立つことが期待される。
  • 2017年4月 - 2017年4月
    本研究では、細胞分裂方向による上皮恒常性と可塑性の制御メカニズムについて、特に分裂方向の異 常が誘導する EMT に注目して、その仕組みを分子および細胞レベルで体系的に解明することを目標とす る。これまでに申請者は、翅原基を生体外にて培養して、高解像度でライブイメージングする手法 を確立しており、この系を適用することで、上皮恒常性の維持に必要かつ、異常な EMT の開始イ ベントでもある細胞脱落現象の理解の基盤を確立できる。さらに、上皮から脱落した間葉様細胞を 単離して、遺伝子発現プロファイルを取得する方法を確立している。ゲノムワイドな遺伝子発現変 化に基づいた候補因子に関して、ショウジョウバエの遺伝学的手法を組み合わせた解析を進めるこ とで、分子・細胞レベルの解析が単一の系で可能である。
  • 2017年2月 - 2017年2月
    申請者は、モデル動物であるショウジョウバエの上皮組織を用いて、腫瘍抑制因子として知られるScribとDlgが分裂期スピンドル方向の決定に関わることを世界に先駆けて報告した(Nature, 2013)。本研究では、分裂期スピンドル方向の異常がどのようにして腫瘍形成や腫瘍の悪性化につながるのか、その詳細な分子・細胞メカニズムを明らかにする。RNA-seqを用いたゲノムワイドな遺伝子発現プロファイルと遺伝学的手法を組み合わせ、上皮腫瘍化に関わる新規マーカーの同定を目指す。
  • 2016年12月 - 2016年12月
    近年、上皮組織における細胞分裂方向の異常は腫瘍形成やがんの悪性化への関与が指摘され、その制御機構 の重要性が認識され始めている。本研究で注目する、腫瘍抑制因子 Scrib と Dlg が上皮の細胞分裂方向を制御 する機能があることは、申請者が博士研究員として行った研究によって、世界で初めて報告したものである (Nakajima et al., 2013 Nature)。これまで、Scrib と Dlg は発生過程における頂底軸極性の形成に必要な因子で あると考えられており、成熟した上皮組織における分子機能は明らかでなかった。申請者による scrib と dlg の機能欠失体の詳細な解析から、細胞分裂方向の異常は頂底軸極性の喪失に先行することがわかっており、分 裂方向の制御の理解は、腫瘍抑制因子 Scrib と Dlg の新たな生理機能の理解につながる。また、申請者は Scrib と Dlg が分裂期特異的な相互作用をする分子を想定しており、BioID システムを生体内の上皮組織に適用した プロテオミクス解析と、遺伝学的な細胞分裂頻度の操作を組み合わせることで、新規の相互作用分子を同定す ることが可能であると考えている。さらに、これら相互作用因子の腫瘍形成に与える影響までを調べる本研究 計画は、上皮腫瘍化の開始や腫瘍悪性化の仕組みの新たな理解につながるものである。
  • 2016年12月 - 2016年12月
    ヒトのがんの約9割は上皮由来であり、上皮性の腫瘍においては、組織構造の破綻と病態が強く相関する。しかしながら、がん原遺伝子や腫瘍抑制因子の遺伝子異常を持った細胞が、どのよう振る舞いを示して上皮構造の破綻を誘導し、腫瘍化が亢進するのか、その仕組みの多くは未だ不明である。近年、上皮組織における細胞分裂方向の異常は腫瘍形成やがんの悪性化への関与が指摘され、その制御機構の重要性が認識され始めている。申請者のこれまでの研究より、上皮と平行な細胞分裂方向が、ScribおよびDlgという腫瘍抑制因子によって制御されており、分裂方向の制御は上皮構造の維持と腫瘍化の抑制に重要であることが明らかとなった。そこで本研究では、ScribとDlgが制御する細胞分裂方向の仕組みを体型的に明らかにし、上皮組織の恒常性維持の理解と、分裂方向の異常が誘導する腫瘍形成・がん化メカニズムの理解を目指すことを目的とする。
  • 2016年10月 - 2016年10月
    申請者は、モデル動物であるショウジョウバエの上皮を用いて、腫瘍抑制因子ScribとDlgが上皮組織における細胞分裂方向の決定に関わることを世界に先駆けて報告した(Nature, 2013)。本研究では、これら因子がどのようにして分裂方向を制御し、その仕組みの破綻が腫瘍化につながるのか、詳細な分子メカニズムを明らかにする。新規のプロテオミクス技術を生体組織に適用した生化学的スクリーニングと遺伝学的手法を組み合わせることで、未知の相互作用分子の同定と、機能解析を達成できる。
  • 2016年10月 - 2016年10月
    ヒトのがんの約9割は上皮組織の細胞由来である。上皮性の腫瘍においては、極性や接着といった上皮細胞の性質に異常がみられ、上皮構造の破綻と病態とが強く相関する。また、悪性化した腫瘍は上皮間葉転換 (Epithelial-to-Mesenchymal Transition, EMT)を経て上皮の性質を失い、間充織様の表現型を示す。上皮構造の異常と腫瘍化の関係は、培養細胞系やモデル動物を用いた、がん原遺伝子や腫瘍抑制因子の研究によって進展してきた。しかしながら、これら遺伝子異常を持った細胞が正常な上皮組織にどのような影響を与え、異常な細胞がどのよう振る舞いを示して上皮構造の破綻を誘導し、腫瘍化が亢進するのか、その仕組みの多くは未だ不明である。 本研究計画では、腫瘍抑制因子ScribとDlgが制御する細胞分裂方向の仕組みを体型的に明らかにし、分裂方向の異常が誘導する腫瘍形成やがんの悪性化メカニズムの理解を目的とする。細胞間結合部位に局在するScribとDlgが、どのようにして分裂期の紡錘体を認識して(分子間の相互作用)、細胞分裂方向を決定しているのか、その詳細な分子メカニズムを解明する。そこで、翅原基を用いたプロテオミクス解析や遺伝学的スクリーニングを行い、上皮と平行な細胞分裂方向の仕組みを体系的に理解するための分子基盤を確立する。さらに、同定した因子の遺伝学的な操作により、scribやdlgの機能欠失体で誘導される腫瘍様の表現型への関与を調べる。