共同研究・競争的資金等の研究課題

2004年 - 2005年

血管炎発症初期のin-vivoイメージングと分子機構解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
16590330
体系的課題番号
JP16590330
配分額
(総額)
3,600,000円
(直接経費)
3,600,000円

活性化好中球、特にMyeloperoxidase(MPO)を抗原として産生される好中球自己抗体MPO-anti-neutirophil cytoplasmic autoantibody(MPO-ANCA)は血管炎の発症・病態に深くかかわっている。一方、好中球の活性化にともない、MPO-ANCAの抗原MPOが細胞表面に表出することが明らかになっている。従って、病因・病態の推移の解析には、MPO抗原の表出の定量がひとつのポイントになる。しかし、これまでの蛍光標識では限界があり、定量的に測定することはできなかった。そこで、マウスMPOに対するラビット抗体を量子ドット(QD)で標識し、定量できるか否か検討した。また、MPO抗体のトレースを目的とし、QD-anti-MPO抗体をin vivo投与しイメージング解析した。【方法】TNF-α、IL-1β、FMLPにより好中球を刺激することによって顆粒から細胞表面に移動するMPOとQD-anti-MPO抗体(QD抗体)との反応をイメージング解析した。さらに、QD抗体をマウスに投与し、経時的に肺、腎、肝、脾を採取し、QDの局在を蛍光顕微鏡にて観察しイメージング解析を行った。【結果・考察】好中球刺激によって細胞表面へMPOが表出することがQD抗体により解析可能となった。QD標識によってS/N比が飛躍的に向上したためと考えられる。血管炎患者由来好中球では無刺激状態においてQD抗体結合が認められた。また、モデルマウスでQD抗体投与後の各臓器への移行は腎臓の糸球体に局在し、24時間後が顕著であった。他の臓器への移行は、糸球体のように顕著でなかった。以上の知見から、血管炎患者や腎炎、血管炎マウスモデルでは、好中球が活性化状態にあってMPOを細胞表面に表出していること、またこの状態をQD抗体を用いたイメージングによってモニタリングすることは有用と思われ、臨床の病態解析のための強力な方法となりうることを示した。本解析は、血管炎患者や腎炎、血管炎マウスの好中球のin vivoの解析に役立つと考えられる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16590330
ID情報
  • 課題番号 : 16590330
  • 体系的課題番号 : JP16590330