共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2021年3月

中央ユーラシア高地民・低地民の相互交流と騎馬遊牧社会の成立基盤に関する考古学研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
17H04533
体系的課題番号
JP17H04533
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
17,030,000円
(直接経費)
13,100,000円
(間接経費)
3,930,000円

本研究は、中央アジア東部地域における農耕牧畜社会の成立過程について、地理的環境の異なるキルギス、天山山中及びウズベキスタン、フェルガナ盆地にそれぞれ所在する考古遺跡の比較調査を実施することによって明らかにすることを目的とする。平成30年度は以下の調査を実施した。
(1)フィールド調査:5月~6月にかけてウズベキスタン、ダルヴェルジン遺跡において基本層序を確立するための発掘調査を実施し、前2千年紀後半の約500年間の連続的な文化層を詳細に記録した。同時に、土器、磨製石器、青銅器、動植物遺存体等の出土標本や建築遺構を層位的に収集、記録し、同遺跡における農耕牧畜の成立過程を長期的な観点から多面的に調べるための基礎資料を整備した。また、9月にキルギス、モル・ブラク1遺跡の発掘調査を実施し、前回の発掘終了面であった前2千年紀初頭より更に下層から居住痕跡を検出した。この結果、農耕牧畜を伴った天山山中の高地環境開発が前3千年紀まで遡る可能性の検証が今後の新たな課題となった。
(2)出土標本の理化学分析:昨年度、キルギスでの標本調査を重点的に実施したため、今年度は新たに標本が得られたウズベキスタンでの標本調査に移行した。特に重要な成果は、動物骨の炭素・窒素安定同位体分析を実施し、家畜の食性を解析して同遺跡での家畜への給餌特性を明らかにしたことである。もう1点重要な成果は、ダルヴェルジン遺跡出土青銅器のほかウズベキスタン国立歴史博物館所蔵の青銅器の蛍光X線分析を実施し、合金成分に関する情報が得られた。これらの成果を踏まえ、来年度からウズベキスタンとキルギス双方を対象とした各種標本の理化学分析結果の比較研究を推進し、地理的環境の異なる2地域での農耕牧畜社会の発展過程について議論するための基盤が整った。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H04533
ID情報
  • 課題番号 : 17H04533
  • 体系的課題番号 : JP17H04533

この研究課題の成果一覧

論文

  3

書籍等出版物

  2
  • 今村,薫 (担当:分担執筆, 範囲:キルギス、天山山中の移牧民遺跡の考古学調査)
    名古屋学院大学総合研究所 2019年
  • 岡山市立オリエント美術館, 古代オリエント博物館 (担当:分担執筆, 範囲:シルクロードの成り立ちを探る-キルギスとウズベキスタンでの発掘調査-)
    岡山市立オリエント美術館、古代オリエント博物館 2018年

講演・口頭発表等

  9