論文

査読有り 筆頭著者
2020年

余暇活動に関する社会調査における「趣味」項目の概念分析

余暇ツーリズム学会誌
  • 杉山昂平

7
開始ページ
37
終了ページ
46
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)

日本語の「趣味」には、おもむき、テイスト、ホビーという多義的な意味がある。そのため、学術用語として「趣味」を用いる場合にも、テイストの研究とホビーの研究を丁寧に区別する必要があることが知られてきた。それに対して本研究は、余暇活動に関する社会調査において「趣味」という概念がどのような意味で用いられているのかを分析することを通して、学術用語として「趣味」を使用する際に考慮すべき事項には「テイスト/ホビーの区別」以外の意味内容があることを示す。余暇活動に関する7つの社会調査における15の「趣味」項目を分析した結果、社会調査で使われる「趣味」概念は、「職業や専門としてでなく、楽しみとして愛好するもの」というホビーの中でも、「スポーツ・意図的な学習活動・旅行・娯楽・メディア利用・交際に該当しない余暇活動」という意味内容を持つ傾向があること、一方で具体的にどのような余暇活動が趣味に該当するのかは、「趣味」と「創作・娯楽・教養」との境界が不明瞭なため判別できないことが明らかになった。これらの結果から、「趣味」概念の残余カテゴリー的側面を考慮し、調査・研究の妥当性を再考する必要があることが示唆される。

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