研究ブログ

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日本産無節サンゴモの分類と分布

「日本産無節サンゴモの分類と分布 (Taxonomic and distributional accounts on the non-geniculate coralline algae in Japan)」が出版されました。

PDF版(56.3 MB):https://www.kaiseiken.or.jp/publish/reports/lib/2023_28.pdf

馬場将輔・加藤亜記 (2023). 日本産無節サンゴモの分類と分布.
海洋生物環境研究所研究報告, No. 28: 1-252. (104図版,他を含む)

Baba M. & Kato A. 2023. Taxonomic and distributional accounts on the non-geniculate coralline algae in Japan. Report of Marine Ecology Research Institute 28: 1–252. [in Japanese with English abstract]

・日本でこれまでに報告された無節サンゴモ98分類群の分類と分布を見直し,72種3品種を確認するとともに,新たに9種を日本新産種として確認した。
・日本産の各種について,命名法,異名表,詳細な形態の記載と図解,標本に基づく分布を記載。
・主著者馬場氏の約40年間にわたる無節サンゴモ研究の集大成

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ヒライボは「平たい」イボの意味だった--ヒライボの分類学的再検討と新種発見

論文が出ました。所属先のWEBサイトに解説を書きました。


 

 

 「ヒライボ」
 海藻図鑑や海岸生物のフィールドガイドに掲載される数少ない無節サンゴモの1つ

 

日本語版

【研究成果】石灰藻サンゴモの代表種「ヒライボ」の分類学的再検討により新種を発見

英語版
Taxonomic reassessment of a calcifying red alga common to the Pacific Ocean with the discovery of a new species based on specimens collected by a Japanese researcher over 100 years ago

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星 サンゴ礁をつくる石灰藻サンゴモ類の新種発見

石灰藻サンゴモ類は,体の重量の約9割が炭酸カルシウムで構成される海藻(紅藻類)です。熱帯域においては,刺胞動物のサンゴと同様,サンゴ礁をつくる生物(造礁生物)として知られています。加藤と海洋生物環境研究所の馬場将輔博士の研究により,これまで太平洋西岸で「ミナミイシモ Lithophyllum kotschyanum」と同定されていたサンゴモ類(写真)は,この種ではなく,新種L. kuroshioenseを含む,少なくとも3種あることが明らかになりました。


(写真)沖縄県今帰仁村で撮影(2012年10月)
解説:
 「ミナミイシモ Lithophyllum kotschyanum」は,サンゴ礁の浅い海でごく一般的に見られる枝状の石灰藻で,紅海,インド洋〜太平洋の熱帯域に広く分布するとされていましたが,形態形質および遺伝子データに基づく研究により,太平洋西岸では,ミナミイシモではなく,L. kuroshioense(新種)とL. subtile,さらに世界の熱帯域に広く分布するL. kaiseriの少なくとも3種が分布していることが明らかになりました。
 サンゴモ類は,サンゴ礁のほか,より高緯度においても沿岸域に地形を作る生物である一方,地球温暖化に付随する海洋酸性化の影響を受けやすいことが報告されています。今回,明らかになった種を肉眼で区別することは難しいですが,近年,こうした種の違いが,生育場所での局所的な分布と関連していることが明らかになってきました。今後の分類学的研究および気候変動の影響に関する研究の進展が期待されます。

論文情報:
Kato, A. & Baba, M. 2019. Distribution of Lithophyllum kuroshioense sp. nov., Lithophyllum subtile and L. kaiseri (Corallinales, Rhodophyta), but not L. kotschyanum, in the northwestern Pacific Ocean. Phycologia 58 (6): 648-660.
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オープンキャンパスで模擬授業をしました

8月20-21日の2日間,広島大学の東広島キャンパスでオープンキャンパスがあり,今年は模擬授業の当番でした。模擬授業は,2日間,午前と午後,それぞれ1時間づつで,4回とも同じ話をしましたが,各回とも,聴講する人の反応が違っていました。「海藻からわかる海の環境」と言うテーマで話ましたが,みなさん,総じて,気候変動に関する話題には関心が高いようです。

会場外には展示も用意。おし葉標本だけでなく,前日に竹原で採集した海藻も実際に展示しました。

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河合塾の「広大魅力発見ブック」に記事が掲載されました

予備校の大学紹介パンフレットに記事が掲載されました。今年度,大学受験する学生向けに,5月から配布が始まっています。
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「広大魅力発見ブック」は広島大学と河合塾が共同制作した、広島大学の新たな魅力を紹介する冊子です。 無料で差し上げておりますので、ご希望の方はこちらからお申し込みください
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Internatonal Seaweed Symposiumで発表しました

4月28日から5月3日の日程で韓国の済州島で開催された23 rd Internatonal Seaweed Symposiumに参加し,サンゴモ類のミニシンポジウムで口頭発表(招待)をしました。

済州島は,旅行サイトで「日本から一番近い海外リゾート」と紹介されていることもあり,温暖なイメージを持って出かけたのですが,シンポジウム最初の数日は風が強く寒かったです。済州島で古くから3つの多いものとして,風が挙げられているのにも納得でした。風力発電の風車がありました。
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中国新聞に掲載されました

中国新聞の地方欄に,ワカメの種糸を地元漁協へ提供,出荷に至った記事が掲載されました。
提供した種糸から養殖したワカメが,今年の出荷量の約5%になる1トンほどになったとのことでした。

「ワカメの種苗、フラスコで培養 広島大水産実験所」
https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=523289&comment_sub_id=0&category_id=256
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広島大生まれのワカメがカットわかめになりました

広漁協の方より,広島大の種糸から養殖したワカメを使った加工品をいただきました(ありがとうございます)。今回は特別に作ってもらったものです。

*安芸灘ワカメ
広漁協の皆さんが出荷するワカメのブランド「安芸灘わかめ」を紹介したページです。




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星 学生居室を西条キャンパスに整備しました!

平成30年度後期より、同じ研究科のLiao研究室と学生居室(東広島西条キャンパス)をシェアして利用することになりました。海藻類の分類や生理生態を研究する仲間として、ゼミや各種イベントも竹原st加藤研と合同で実施していきます。
(2018年10月よりブログを再開して、facebookは閉鎖しました。)
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8月も終わり

忙しくも充実した7-8月でした。
7月上旬から近況関係はFacebookに移行しました。
こちらのブログはこれで更新終了します(研究者情報は引き続き更新します)。

写真は,実験所の屋外水槽で養生している石灰藻ヒライボです。夏になってから,内生していた別の海藻が出てきたりしています。
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早くも7月・・・

5月半からこれまでのログ。
写真は,7月の藻場調査で訪れた,愛媛県南西岸で養殖されているアコヤガイ。

6月8日(土)日本応用藻類学会での口頭発表
3月の山梨での日本藻類学会に出られなかったので,「広島県竹原市周辺の海藻相」続報はこちらで発表しました。

6月9日(日)神奈川県三崎市でのサンプリング
共同研究者の方にご案内いただいて,石灰藻サンゴモ類を採集してきました。

そのほか,6月は,今年後期に研究室配属になる3年生向けの卒研テーマの説明とそれに関する講義をしました。今年も,海藻に興味を持った人が来てくれると良いと思います。

7月第1週 愛媛県南西岸での藻場調査
南に向かうほど,サンゴの被度も種数も増え,海藻も亜熱帯で見られる種があっておもしろかったです。
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食文化海藻塾

GWの前半に開催された大崎上島の食文化海藻塾で,食用とされているけれど,普段は食べない海藻の試食をしてきました。文献によると,この近辺で見られる約30種は食用になるようです。
写真はアナアオサ。
アナアオサ・・天ぷらにすると,磯の香りのいい,せんべいのようになっておいしい。
生のまま食べると硬い。
ヒトエグサ・・生のまま味噌汁でもOK。
(後日,佃煮にしたものをいただきました。また,参加者の方と思われる方から,煮ている現場写真もお送り頂きました。ありがとうございました。)
ミル・・水で少し塩抜きをしてから,天ぷらに(二度揚げ)。悪くないですが,噛み切れない感じ。
ツルモ・・茹でてポン酢で。しゃきしゃきした食感。
クロメ・・茹でてポン酢で試してみましたが,ちょっとえぐみが気になるかも。大分では食べるらしいですが,調理法はこれでいいのでしょうか。
シキンノリ・・茹でてポン酢で。茹ですぎると溶けてしまう。
キョウノヒモ・・上に同じ
ツノマタ類・・上に同じ
フダラク・・天ぷら(2度揚げ)。ちょっと硬めだけれど,いいかもしれません。
ツルシラモ・・下ゆでしてから味噌汁に。結構いいかも。
カバノリ・・茹でてポン酢で試してみましたが,ちょっと微妙です。

調理法も開発すると,なおよいかもしれません。山口県では,アカモクが食品として商品化されたそうです。
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大崎上島での「食文化海藻塾」開催!

今年も,大崎上島の海藻イベントに講師として呼んで頂いています。
去年より,今年は,海藻の「食」の部分を強化した企画になっていますが,やはり,海藻にどんなものがあるか,あまり知られていないので,海藻のそのものの解説係としてです。

充電式光源の顕微鏡を持って行くのですが,大人も子どもも,熱心に採ってきた海藻を見ようとされます。




お手伝いをお願いした卒研生が,なんと「調理師」の資格を持っているので,町おこしにもぜひそれを生かしてもらえないかな,とも思います。
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的場公園の桜

日曜日,実験所に来る予定があったので,すぐとなりにある的場公園へ花見に行ってきました。的場公園のすぐ裏手に小さい山があり,看板の説明書きによると,吉野桜200本が40年ほど前に植樹されたそうで,いちめんの花盛りでした。実に,広大に着任して3年目にしてようやく来てみました。

つぼみのある枝もたくさんあって,今週いっぱいが見頃のようです。まだまだ八重桜はこれからだし,来月には藤もきれいそうで,しばらく散歩がてな花見が楽しめそうです。
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周防大島アワサンゴ群落周辺の調査

周防大島(山口県)のアワサンゴ群落周辺の調査に行ってきました。
ごくごく小さい岩場の周囲で,大型褐藻が茂る海藻群落から,小型種の海藻群落の中にアワサンゴが点在する場所(写真:緑の丸いものがアワサンゴ),海藻もアワサンゴも見られない場所まで,様々な様相が見られました。

実験所のある竹原にくらべると,暖かい海域の種がいくらか目に付きました。
また,継続して見ていきたいと思っています。

ひさしぶりにドライスーツで潜水しました。陸上は桜がほぼ満開でしたが,水温は12度程度でした。
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ルソン島北部でサンプリング

館山でのサンプリングに続き,フィリピンでもサンプリングをしてきました。
フィリピンでは,ルソン島北部のTuguegarao(マニラから200km北)にあるフィリピン農業省水産資源局(BFAR, Bureau of Fisheries and Aquatic Resources)の支所のお世話になり,現地調査をしてきました。

この支所には,出来たばかりの研究棟(写真)があり,水産物(とくに海藻)の観察や加工に関した設備がありました。オゴノリ類を使った麺を試食させてもらいました。

写真は緑藻ミルとトマトのサラダ。
味は,まあOKでした。もう少し塩抜きしたら,もっといいかもしれません。
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