研究ブログ

2016年12月の記事一覧

情報って何?(4):カッコはいつ取るの?

こちらの記事「5-(-3)はなぜ5+3? 三女の涙と父が伝えたかったことを Twitter で知って、三女さんが納得できる(かもしれない)説明を考えました。最初は Tweet しようと思ったのですが、140文字では無理だったので、ブログに書きます。ここで重要なのは、三女さんに分かりやすい説明かどうかで、正しいことを書けばよいというものではありません。そのため、最初はさらっと書くつもりだったのに、けっこう難産になってしまいました。なお、このエントリーは、以前書いた「役立つかどうかではなく、役立てられるかどうかだ!がベースになっています。
 
まず、大前提として、「情報って何?(2):スポーツから考える(1/2)に書いたように、同じ説明でも、すでに持っているメンタルモデルは人によって違うので、同じように伝わるとは限りません。ある説明が理解できなくても、自分で納得のできる説明をつけられる、つまり、自分でメンタルモデルを構築できるとよいのですが、ここで書いたようになかなか難しいものです。しかし、いろんな説明を聞いたら、その説明自体で納得しなくても、納得の仕方をつかめるかもしれません。
 
三女さんのお父さんは「数直線上の旅人 「タス君」と「ヒク君」」という説明をされました。これは、加算と減算をどう捉えるか、ということだろうと思います。三女さんがどのような理解の仕方をしているかは分からないのですが、お父さんのブログから判断するに、加算減算のところより「カッコのとりはずし」にひっかかっているように思いましたので、そのような説明を試みます。
 
三女さんのお父さんと同様に、数直線で考えます。足し算や引き算を、右や左に移動すると考えるということです。ただ、これだとカッコをとるとらないが明示的にでてきません。また、これもお父さんが書いておられますが、加算減算の"-"と単項演算子の"-"がごっちゃになっているので、理解しにくいということもあります。そのため、まず、減算は存在しないと自分で勝手に考えてみます。つまり、引き算を5-3=5+(-3)として、足し算として考えます。カッコは消しなさいと習ったと思うのですが、逆にカッコが出てきましたが、しばらく我慢してください。
 
いったんこのように考えた上で、「-1をかける」を「大きさはそのままで(数直線上で)180度反対にする計算」と考え、-3=(-1)x3と考えます。また180度の二回転は元に戻るので、(-1)x(-3)=3です。つまり"-"の役割を反対方向を向けるだけとします。
 
例で考えると、5-(-3)=5+(-1)x(-3)=5+3です。つまり「カッコをいつとるか」ではなくて、(-1)を掛けて、数字の前の記号(+や-)が1つになったら自然にカッコがとれている、ということです。念のために書いておくと、"+1"を掛けるのは「大きさはそのままで方向はそのままにする演算」と考えられます。なので、5+3 =(+5)+(+3)=(+1)x5+(+1)x3 とカッコがなかったのに、カッコがつきましたが、+1は何も変えないので、そのまま消して、5+3になります。先頭の"+"は通常書かないので省略してあります。そう考えると、5+(-3)の"+"は、そのままにする演算子なので、-3をそのまま取りだして、5+(-3)=5-3とカッコが消えました。
 
他に、例えば、-(-3)+5 = (-1)x(-3)+5 = (+3)+5 = 3+5となります。一応、これで気になりそうな例はカバーしたつもりですが、どうだろう。
0