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高松平藏氏講演会「まちづくりにスポーツが必要な理由」

昨日は、日本時間の21時から23時30分まで、ジャーナリストの高松平藏さんによる講演「まちづくりにスポーツが必要な理由」を聴講しました。


今回はZoomによる遠隔会議方式で行われ、高松さんがドイツのバイエルン州エアランゲン市から日本の参加者に向けてお話をされました。


講演では、最初に「スポーツの機能」として「余暇」、「インクルージョン」、「社交」、「健康」、「教育」、「郷土愛」を、「スポーツを通して行われていること」として「運動」、「競争」、「気晴らし」、「関与」、「学習」を、「スポーツ活動に含まれる価値」として「相互敬意」、「平等」、「自由」、「連帯」、「寛容」が挙げられ、スポーツの持つ多様な側面が説明されました。


次に、「まちづくりとは何か?」という視点から、「まちづくり」という言葉が自治体、開発業者、個人といった違いによって対象となる範囲が伸縮すること、「まちづくり」における「まち」がコミュニティに相当することなどが指摘されました。


また、日本においては効率の良い開発のため地域を用途別に分けて開発を推進する「用途別開発」が主であったものの、開発の主体が「国家」から「コミュニティ」に移行する「まちづくり」は、自治の推進の契機となる可能性が示唆されました。


さらに、スポーツは社会資本であり、結果的に「まちづくり」の「縁の下の力」となることが、「都市社会生活に不可欠なサービス供給者」と「開かれた連帯的コミュニティ」というドイツにおけるスポーツクラブの役割や、可処分時間が増えるとスポーツに費やす時間が増えるというドイツの特徴が挙げられました。


そして、日本においては「集客のための手段」としてスポーツが利用され、ドイツでは「都市に住む人々の日々の生活」をより良くするためにスポーツが用いられるという対比から、スポーツの持つ多様な性格と、「まちづくり」におけるスポーツの果たす役割が検討されました。


講演とその後の質疑応答からは、スポーツの趣味や娯楽としての一面とともに社会的な位置付けが明らかにされるとともに、一つの現象の背後にある文化的、歴史的な側面を理解することが事柄そのものの理解に有益であることが示され、スポーツのあり方と可能性を考える上からも興味深い視座が得られたと言えるでしょう。


<Executive Summary>
Mr. Heizo Takamatsu's Online Lecture "The Reason Why Sports Are Required for Community Planning" (Yusuke Suzumura)


Mr. Heizo Takamatsu, a Germany-based journalist, held an online lecture entitled with "The Reason Why Sports Are Required for Community Planning" on 19th June 2020. In the lecture Mr . Takamatsu pointed out and discussed outline and meaning of sports for community planning.

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